頸髄損傷におけるリハビリテーション医療の戦略 2004年3月4日

頸髄損傷におけるリハビリテーション医療の戦略 吉備高原医療リハビリテーションセンター(PDF)2004年3月4日

頸髄損傷者に対する現場の医療従事者の資料として秀でている。
ただし「自立」=ADLという分け方は典型的医学モデルであるので「社会的ゴール」へのアルゴリズムに無理が感じられる。ADLの獲得と社会的自立の達成は一致しない。「自立」=社会的自立として社会モデルに転換すればアルゴリズムが簡潔になると思われる。 
要旨を転載する。

要旨:一般病院の在院日数短縮化により,社会復帰までに長期間を要する疾患においては,個々の医療機関でリハビリテーション(以下,リハ)を完結することはもはや困難となった.その代表的な疾患が脊髄損傷である.
現在の医療システムのなかで,このような疾患においてもリハ医療が十分に機能するためには「各医療機関の役割分担と連携」が必要である.当センターでは,亜急性期から回復期,慢性期の脊髄損傷者を担当し社会復帰させることが,その役割と考えている.過去3 年間に,初回のリハを終えて当センターを退院した外傷性頸髄損傷者は57 例,外傷性胸腰髄損傷者は32 例だった.胸腰髄損傷者では56 %が家庭復帰,38 %が職業リハあるいは職業復帰し,頸髄損傷においても70 %が家庭復帰,14 %が職業リハあるいは職業復帰,復学に至っている.我々は,外来受診時に医師,理学療法士,作業療法士,医療ソーシャルワーカーが障害の評価を行い,予測される日
常生活動作や介護者の有無などから社会的ゴールを明確にし,患者・家族に対し充分なインフォームド・コンセントを得た上で治療を行っている.頸髄損傷者のような重度の障害を残す可能性のある者が退院時に社会的帰結を得るためにこのことは欠かせない.
病院間の連携は,それぞれの医療機関が個々の役割を十分認識した上で初めて成り立つ.現在,我々は他の労災病院のリハ・カンファレンスに参加して,急性期のリハ対象者の中で家庭復帰や将来の職業リハの適応があり今後もリハを継続する必要性のある者には,当センターへの転院をすすめている.今の医療システムおいては,専門的な技術と知識をもった医療機関が中心となって病院間の連携をはかり,急性期から社会復帰までのリハ医療の流れをつくることが必要であろう.それぞれを担当する医療機関は,その役割を認識し方向性をつけて次の段階に引き継ぐ.それによって脊髄損傷のリハ医療は成立する.


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