沖縄で1万年前の人骨 旧石器人と縄文人つなぐ資料に

沖縄で1万年前の人骨 旧石器人と縄文人つなぐ資料に:朝日新聞デジタル より

沖縄で1万年前の人骨 旧石器人と縄文人つなぐ資料に
今井邦彦
2021/11/9 9:00 会員記事
藪地洞穴遺跡で見つかった人骨片の位置=うるま市教委提供
藪地洞穴遺跡での発掘調査の様子=沖縄県うるま市、同市教委提供
人骨片が見つかった藪地洞穴遺跡の入り口=沖縄県うるま市、同市教委提供
 沖縄県うるま市の藪地(やぶち)洞穴遺跡で、約1万~9千年前の人骨片が出土したと、8日、市教育委員会が発表した。見つかったのは頭骨の額部分で、沖縄でこれまで空白になっていた、約1万4千年前以前の「港川人」など旧石器人と、約7千年前以降の貝塚人(沖縄の縄文人)の間を埋める資料として注目される。
 藪地洞穴遺跡は、九州以北では縄文時代早期にあたる時期の土器や石器が出土している。2014~16年に市教委が発掘調査し、沖縄では最古となる約1万年前の土器が出土した。
 その後の出土品の整理で、石の破片と思われていたものが人骨片と判明したという。出土した上下の地層に含まれた炭化物の放射性炭素年代から、沖縄の時代区分では貝塚時代前期、九州以北の時代区分では縄文時代早期の約1万~9千年前のものと判定された。
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 沖縄県では港川フィッシャー遺跡(八重瀬町)で出土した「港川人」(約2万年前)など、約1万4千年前より古い旧石器時代の人骨が多数出土しているが、その後は大堂原(うふどうばる)遺跡(名護市)で出土した約7千年前の人骨まで空白があり、沖縄の旧石器人が貝塚人の祖先かどうかや、九州以北の縄文人につながるかどうかには様々な説があった。
 沖縄の古人骨を研究している土肥直美・元琉球大准教授(形質人類学)は「頭骨には人間集団の系統関係を探れる情報が多い。今回の人骨は、港川人と沖縄の貝塚人、九州以北の縄文人の関係を考える上で、大きな手がかりになるのでは」と話している。人骨は9~21日、うるま市のあまわりパーク歴史文化施設で公開される。(今井邦彦)


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