核兵器禁止条約、発効条件満たす 50の国・地域が批准

核兵器禁止条約、発効条件満たす 50の国・地域が批准:朝日新聞デジタル より

核兵器禁止条約、発効条件満たす 50の国・地域が批准
ニューヨーク=藤原学思
2020/10/25 6:23

 核兵器の開発や製造、保有、使用を全面的に禁じる核兵器禁止条約の批准国・地域が24日、条約が発効する条件となっている50に達した。90日後の来年1月22日に条約が発効する。「核なき世界」の実現を求める国際的な声に後押しされ、核兵器を非人道的で違法だとみなす初めての国際条約が動き出す。
 中米ホンジュラスが24日に批准したと、国連関係者が明らかにした。国連が定める五大州別の批准国・地域数は、アフリカ6▽米州21▽アジア8▽欧州5▽オセアニア10となった。小国や島国が多いのが特徴だ。日本は「日米同盟の下で核兵器を有する米国の抑止力を維持することが必要」などとして批准していない。
 国連のグテーレス事務総長は24日、「条約の発効は、核爆発や核実験の(被害を受けた)生存者に対し、敬意を表するものだ」とする談話を発表。「いかなる核兵器の使用も壊滅的な人道的被害をもたらし、そのことについて注意を喚起しようとする世界的な運動の集大成でもある」と歓迎し、国連としても核軍縮を最優先課題として取り組んでいく姿勢を改めて示した。
 核兵器禁止条約は2017年7月、国連の条約交渉会議で122カ国・地域の賛成で採択された。発効から1年以内に締約国の会合を開き、核兵器廃棄の期限や検証方法などを決める。
 核不拡散条約(NPT)が「核保有国」と定める米国、ロシア、英国、フランス、中国はこの条約に明確に反対の姿勢を示している。米国の「核の傘」の下にある日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)加盟国は批准国に名を連ねていない。
 核軍縮を取り巻く国際情勢も厳しい。米国と旧ソ連が冷戦時代に結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約は昨年8月、米国の離脱表明を機に失効。米ロ間に現在残された唯一の核軍縮条約である「新戦略兵器削減条約」(新START)の期限は来年2月だが、延長されるかどうかは予断を許さない状況だ。(ニューヨーク=藤原学思)
核兵器禁止条約に署名・批准した国・地域(★が批准国)

 アルジェリア、アンゴラ、★アンティグア・バーブーダ、★オーストリア、★バングラデシュ、★ベリーズ、ベナン、★ボリビア、★ボツワナ、ブラジル、ブルネイ、カボベルデ、カンボジア、中央アフリカ共和国、チリ、コロンビア、コモロ、コンゴ共和国、★クック諸島(※)、★コスタリカ、コートジボワール、★キューバ、コンゴ民主共和国、★ドミニカ、ドミニカ共和国、★エクアドル、★エルサルバドル、★フィジー、★ガンビア、ガーナ、グレナダ、グアテマラ、ギニアビサウ、★ガイアナ、★バチカン、★ホンジュラス、インドネシア、★アイルランド、★ジャマイカ、★カザフスタン、★キリバス、★ラオス、★レソト、リビア、リヒテンシュタイン、マダガスカル、マラウイ、★マレーシア、★モルディブ、★マルタ、★メキシコ、モザンビーク、ミャンマー、★ナミビア、★ナウル、ネパール、★ニュージーランド、★ニカラグア、★ナイジェリア、★ニウエ(※)、★パラオ、★パレスチナ、★パナマ、★パラグアイ、ペルー、フィリピン、★セントクリストファー・ネビス、★セントルシア、★セントビンセント・グレナディーン、★サモア、★サンマリノ、サントメ・プリンシペ、セーシェル、★南アフリカ共和国、スーダン、タンザニア、★タイ、東ティモール、トーゴ、★トリニダード・トバゴ、★ツバル、★ウルグアイ、★バヌアツ、★ベネズエラ、★ベトナム、ザンビア
 ※クック諸島、ニウエは、同条約に署名せずに加入書を国連に寄託。加入は批准と同じ法的効力を持つ

核兵器をめぐる主な出来事

1945年8月 広島、長崎へ米国が原爆投下
 49年8月 ソ連が核実験。米ソの核開発競争へ
 52年10月 英国が核実験
 54年3月 米国がビキニ環礁で水爆実験。第五福竜丸      が「死の灰」浴びる
 55年7月 世界の科学者らが核兵器廃絶訴える「ラッ      セル=アインシュタイン宣言」発表
 60年2月 フランスが核実験
 62年10月 キューバ危機で米ソが核戦争の瀬戸際に
 64年10月 中国が核実験
 70年3月 核不拡散条約(NPT)が発効
 74年5月 インドが核実験
 78年5月 国連本部で第1回軍縮特別総会
 87年12月 米ソ首脳が中距離核戦力(INF)全廃条      約に署名。初の核兵器削減へ
 89年12月 米ソ首脳がマルタで冷戦終結宣言
 91年7月 米ソが戦略兵器削減条約(START)に      署名
 95年5月 NPT再検討会議で条約期限を無期限延長
 96年7月 国際司法裁判所が「核兵器の使用と威嚇は      一般的には国際法違反」と勧告的意見
2006年10月 北朝鮮が核実験
 09年4月 オバマ米大統領がプラハで「核なき世界を      めざす」と演説。同年ノーベル平和賞受賞
 10年4月 米ロが新戦略兵器削減条約(新START
      )に署名
 12年5月 NPT準備委員会で、スイスなどが「核軍      縮の人道的側面」に関する共同声明を発表
 13年3月 ノルウェーが「核兵器の人道的影響」に焦      点をあてた初の国際会議を主催
 14年12月 ウィーンでの「核兵器の人道的影響に関す      る国際会議」に米英が初参加
 16年5月 オバマ大統領が広島訪問
 17年7月 核兵器禁止条約が国連で採択される
   10月 ICANがノーベル平和賞に決定
 18年2月 トランプ米政権が「核態勢見直し」発表。      核兵器の役割拡大を打ち出す
 19年8月 中距離核戦力(INF)全廃条約失効
 20年10月24日 核兵器禁止条約の批准国・地域が発効要件の50に到達
 21年1月22日 核兵器禁止条約が発効


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