無くす気がないから体罰はなくならない 柔道技の教諭、研修の後すぐに

教諭の暴行・傷害を見逃すから無くなる訳がない。
『部活動を自分の思い通りにしたい』とかの範疇ではない。

なぜ体罰なくならない? 柔道技の教諭、研修の後すぐに:朝日新聞デジタル より

なぜ体罰なくならない? 柔道技の教諭、研修の後すぐに
石村裕輔、後藤遼太
2020/10/18 15:00
兵庫教育大学の川上泰彦教授
日本体育大学の南部さおり准教授=越田省吾撮影
 兵庫県の宝塚市立中学校で、1年生2人に柔道技で重軽傷を負わせたとして、顧問の男性教諭が傷害容疑で逮捕された。生徒の1人は失神した後も暴行を続けられ、背骨を折る重傷。この教諭は過去にも体罰で処分されていた。学校での「体罰」に厳しい目が向けられる中、なぜこのようなことが起きるのか。(石村裕輔、後藤遼太)
失神するとほおをたたいて

 逮捕されたのは宝塚市立長尾中学校教諭の上野宝博容疑者(50)。逮捕後に会見した市教育委員会や宝塚署によると、9月25日、道場の冷凍庫にあった差し入れのアイスキャンディーが減っていることに気づいた上野容疑者が部員らを問いただし、2人が食べたことを認めたところ、暴行を始めた。
 まず生徒の1人に投げ技や寝技を繰り返した。生徒は「アイスを食べてごめんなさい」と3度謝ったが、「今ごろ言っても許さん」と暴行を続けた。生徒が途中、絞め技で失神するとほおをたたいて目を覚まさせ、さらに技をかけたという。この生徒は背骨を圧迫骨折する重傷だった。
 さらに仮入部のもう1人の生徒には、嫌がるのを無理にめがねを外させ、寝技を繰り返して首などに軽傷を負わせた。
頭突きで骨折させ、減給処分も

 学校側は保護者からの連絡で体罰事案を認知。上野容疑者は当初「きつめの指導をした」と説明していたという。
 市教委によると、上野容疑者は別の中学にいた2013年2月、生徒をたたくなど2件の体罰で訓告処分を受けた。その約4カ月後、生徒の態度に腹を立て頭突きをして鼻骨を折り、減給の懲戒処分となった。
 長尾中学には16年に赴任したが、昨年度から同中に勤務する田中誠校長は「体罰的なことは一切聞いてない。生徒に対してこまかな接し方ができる先生だった」と話す。それでも事件は起きた。市教委幹部は会見で、体罰を繰り返した教員が部活動の顧問についていたことは「反省するべきだ」と話した。

直前には研修

 体罰をめぐっては、12年に大阪市立桜宮高校で体罰を受けた生徒が自殺した問題があり、全国的に再発防止の取り組みが進められた。
 しかし県内では昨年、市立尼崎高校の男子バレーボール部で男性コーチに顔をたたかれた部員が一時意識を失う体罰があり、再び大きな問題に。同校では硬式野球部でも体罰が発覚し、尼崎市は全市立小中学校の体罰を調査。過去6年間に小学校で25件、中学校で30件の体罰があったと、7月に発表したばかりだった。
 また、宝塚市では2016年に中学2年の女子生徒が自殺した問題をめぐり、市の再調査委員会が学級や部活動でのいじめを認定。これを受け、市教委は子どもとの接し方などについて、教員に研修を実施してきた。
 上野容疑者も事件の約1カ月前にこの研修を受けていた。森恵実子教育長は会見で「自分のこととしてとらえていなかったのかもわからない。そうならないための研修なのに」と厳しい表情を見せた。

「人手不足」を指摘

 《教育行政に詳しい兵庫教育大学の川上泰彦教授(教育行政学)》 教諭は別の学校で過去、体罰で複数回処分されている。今回どんなプロセスで部活の顧問になったのか疑問だ。顧問を誰にするかは各学校の校長に委ねられているが、処分歴は共有されているはずだ。されていなければ問題だし、共有された上で顧問になったのなら、どんな判断だったのか検証する必要がある。顧問自ら競技することを前提に部活を割り振る場合、なり手が少ないケースも多い。人手不足を理由に処分歴に目をつぶったという事情はないだろうか。こうした体罰を防ぐには密室を作らないことが重要。多くの人の目に触れ、誰が見ても説明のつく指導がなされる仕組み作りをすべきだ。不適切な個人を排除すれば済む話ではない。「ブレーキをかける仕組み」がないと、問題は繰り返される。

学校上層部に「負い目」

 部活動の体罰問題に詳しい日本体育大学の南部さおり教授(スポーツ危機管理学)の話
 部活動を自分の思い通りにしたい教諭が、規律を乱した部員を執拗(しつよう)に攻撃し見せしめにしたのではないか。こうした体罰は近年減少傾向だが、一部に根強く残る。背景には、日本の部活動が教諭の「滅私奉公」に支えられているという事情がある。部活指導は基本的にボランティアで報酬もなく、休日もつぶれる。指導基準もない。学校上層部としては、部活を受け持ってくれる教諭に強く言えない「負い目」がある。「指導が行き過ぎただけ」「熱心さのあまり」と容認しがちゆえに、横暴な指導がまかり通るという構造がある。問題を解決するには、スポーツ指導者には正当な報酬と資格を付与し、もし問題を起こせば資格を剝奪(はくだつ)するという欧米型に移行していかなければならない。


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