『インターネット活用業務「NHKプラス」の開始にあたって』全文 2020/01/15付

インターネット活用業務「NHKプラス」の開始にあたって より

2020年1月15日

インターネット活用業務「NHKプラス」の開始にあたって

日本放送協会会長上田良一

 私が会長の任に就いてからの3年、「放送と通信の融合」の時代に、NHKが「公共放送から公共メディア」へ進化し、時代の変化の中できちんと公共の役割を果たし続けていくことをめざしてきましたが、「常時同時配信と見逃し番組配信の実現」は、その具体的な目標でした。去年5月、求め続けてきたNHKのテレビ放送をインターネットで常時同時配信することなどを認める改正放送法が成立し、今年の元日に施行されました。
 そして、1月14日、「NHKインターネット活用業務実施基準」の大臣認可が得られ、1月15日、2019年度および2020年度の「インターネット活用業務実施計画」について、経営委員会の議決をいただきました。これにより、常時同時配信と見逃し番組配信のサービスの実施が可能となりました。
 NHKは、現3か年経営計画で、放送を太い幹としつつ、インターネットも適切に活用し、多様な伝送路で、視聴者・国民の皆さまに、正確で迅速なニュースや質の高い多彩な番組を「いつでも、どこでも」受け取っていただける環境を整え、視聴できる機会を拡大していくことを掲げて取り組んできました。新たなサービスの開始は、NHKが、これからも、信頼される「情報の社会的基盤」としての役割を果たし続けていくための、大切な一歩だと考えています。
 新しいサービスの名称は、「NHKプラス」です。
 視聴者の皆さまに、このサービスに触れて活用していただくことで、新しいプラスの価値を体験していただきたい。暮らしの中に公共性の高い情報と接触する機会をプラスしていただきたいという思いを込めました。
 NHKの番組を、いつでもどこでも見ることができ、日々の生活をより豊かにわくわくできるという「プラス」。いざという時にいつでもどこでも災害情報などを知ることができる、日々の生活がより安心になるという意味での「プラス」。多種多様な情報があふれるネット空間においても、「情報の社会的基盤」として、確かな取材に裏付けられた、信頼できる、より深い情報に触れることができる「プラス」。さまざまな番組を通して新たな世界や多様な考え方に出会える「プラス」。そうした思い、願いを込めました。
 常時同時配信・見逃し番組配信、「NHKプラス」は、受信料を財源とする、「放送を補完」するサービスで、受信契約者と生計を同一にする方は、利用申込みと認証の手続きを経ていただければ、追加のご負担なくご利用いただけます。
「NHKプラス」のサービスの開始は4月1日。総合テレビとEテレ(教育テレビ)の放送番組を配信します。
 常時同時配信については、実施費用を抑えるため、毎日、午前6時から翌日午前0時までの18時間程度、提供することとします。朝の通勤時間帯にもご利用いただけるように考えました。
 なお、「NHKプラス」のサービスは、受信料制度との整合を保つため、「認証」を確実に行うことが必要です。そのため、試行的なサービスを3月1日から1か月間、実施します。この期間については、常時同時配信は、午前7時から翌日午前0時までの1日17時間程度、提供します。
 一方、見逃し番組配信は、原則、放送後7日間、24時間ご利用いただけるようにします。モバイル端末で、「いつでも、どこでも」に加え、「何度でも」、それぞれの生活スタイルにあわせてご覧いただき、放送を見逃した時、友達との会話やSNSで話題になった番組をご覧になりたいと思った時など、日々の暮らしに役立てていただきたいと思います。日頃、なかなかテレビを観ていただけない若い方も含めて、受信料で制作した豊かなコンテンツに触れていただける機会を増やしたいと思っています。
 認証については、受信契約者の利用登録と受信契約を照合することにより、サービスをご利用いただくこととしています。受信契約が確認できなかった場合などは、画面の上に、受信契約を確認するための情報提供を求めるメッセージを表示します。
 インターネットならではの特有の課題についても、新しいサービスの開始に向けて研究・検討を重ねて、さまざまな準備を進めてまいりました。まず、セキュリティ対策について、万全を期します。そして、個人情報の保護について、十分に留意して実施します。
 NHKは、公共放送・公共メディアとしての取材・制作の基本姿勢を「NHK放送ガイドライン」と「NHKインターネットガイドライン」に記し、NHKの放送・サービスに携わる一人ひとりの判断の指針としています。常時同時配信・見逃し番組配信の開始にあたって、あらためてガイドラインを見直し、しっかりした構えをもって、新しい一歩を踏み出したいと考えています。
 改正放送法では、民放との協力が「努力義務」とされました。新しいサービスを実施する中で得られる利用状況や使われ方などについての有用なデータや知見など、可能な限り民放のみなさまとも共有をしていきたいと考えています。放送と通信の融合が進む中で、これまで放送で培ってきた二元体制を維持しながら、相互の発展につながるような連携を進めていきたいと思います。
 NHKオンデマンド(NOD)については、「NHKプラス」の見逃し番組配信の開始に伴い、現在の「見逃し見放題パック」と「特選見放題パック」をあわせて、「まるごと見放題パック」に一本化します。NHKの豊富な映像資産であるアーカイブスをより利用しやすく魅力的に感じていただけるサービスにしていきます。
 常時同時配信・見逃し番組配信を含むインターネット活用業務の実施にかかる費用については、2020年度は、オリンピック・パラリンピック東京大会に関する費用を除いて、受信料収入の2.5%の枠内で実施するべく、想定されるすべての業務について、聖域なく点検し、これまでのサービスの見直しなども行い、実施計画を立てました。費用は、170億円、受信料収入の2.4%を見込んでいます。これに、オリンピック・パラリンピック東京大会に係る費用19億円をあわせた189億円が2号受信料財源業務の費用です。引き続き、費用の抑制的な管理に努めていきます。そして、業務、受信料、ガバナンスを一体とした改革に不断で取り組み、受信料の価値の向上に努めてまいります。
 現3か年経営計画のタイトルは、「大切なことを、より深く、より身近に~“公共メディア”のある暮らし~」です。インターネットを通じた常時同時配信、見逃し番組配信サービスのスタートは、公共メディアへの“パラダイムシフト”に向けた第一歩です。ご利用いただく視聴者のみなさまの声を十分聞きながら、より良いサービスにしてまいりたいと思います。
 そして、放送と通信の融合が一層進み、メディア環境が激しく変化し、映像コンテンツへの接触がますます多様になっていく中で、NHKは、これからも、視聴者・国民のみなさまに必要だと思っていただけるような「公共メディア」の姿をお示しして、放送法で期待されている役割をしっかり果たしてまいります。
 新サービス「NHKプラス」の開始は、「小さな一歩」かもしれませんが、NHKが公共メディアとして、これからも、信頼される「情報の社会的基盤」の役割を果たし続けていくための「大きな飛躍の一歩」であって欲しいと思います。

 

関連記事Similar Posts:

カテゴリー: NHKは解体すべき パーマリンク