風力発電機市場 日本勢は“不在” 発電機の大型化競争で欧米勢に取り残され

風力発電機市場 日本勢は“不在” 発電機の大型化競争で欧米勢に取り残され – 毎日新聞より
風力発電機市場 日本勢は“不在” 発電機の大型化競争で欧米勢に取り残され
毎日新聞2019年2月27日 20時45分(最終更新 2月27日 20時46分)

 世界で拡大する風力発電機市場で、日本企業が事実上、不在の状況になっている。国内有力メーカーだった日立製作所が先月、風力発電機の自社生産からの撤退を表明。三菱重工業、日本製鋼所なども既に事業継続を事実上、断念している。発電機の大型化競争で欧米勢に取り残されたためで、世界の需要を取り込めない状態となっている。

 日立は1月下旬、風力発電機の生産から撤退すると発表した。世界では、建設の制約の少ない広い平地や洋上を中心に、発電量あたりのコストが安い大型発電機が主流になっている。日立はこれまで、建設に適した地域が少ない国内で風力発電事業を展開。昨年の台湾での発電機受注を手始めに海外展開を狙った。しかし、既に大型発電機の市場拡大が進む欧州のメーカーが開発で先行。日立は台風に耐えられる発電機などを開発したが、大型化競争についていけなかった。日立の発電機の最大出力5200キロワットに対し、スペインのシーメンスガメサや米ゼネラル・エレクトリック(GE)はすでに発電効率の良い1万キロワット級の大型風力発電機の開発に着手しており、開発投資に見合う利益回収が困難だと判断し、撤退を決めた。

MHIヴェスタスが建設したデンマークの風力発電機=三菱重工業提供
 日本勢ではこのほか、日本製鋼所も風力発電機の不具合で損失を出したことから2017年3月以降受注を停止し、事実上撤退。三菱重工は1980年代に米国に進出したが、08年以降、GEと特許を巡る訴訟が起きたことで受注が減り、事業継続を断念した。

 風力発電の国際的業界団体「世界風力会議」(GWEC)によると、風力発電の総出力は01年の2300万キロワットから、17年は5億3900万キロワットと約23倍に増加。22年には約8億4100万キロワットに拡大すると予想されるが、日本勢はほぼ不在の状況だ。米FTIインテリジェンスによると、17年の新規建設のメーカー別シェアは、デンマークのヴェスタスが16・7%と首位で、上位5社が約6割を占めた。

 日立は今後、提携先の独エネルコンから発電機を調達し、保守・運営サービスに注力する方針。三菱重工は、14年にヴェスタスと共同出資した合弁会社で、欧州を中心に洋上風力発電機の受注を進めるが、どこまで収益を伸ばせるかは不透明だ。エネルギー事情に詳しい東京理科大の橘川武郎教授は「日本勢が発電機で欧州などのメーカーに追いつくのは難しい。風力発電は天候次第で発電量が変動するため、需要予測システムや送配電の事業などで商機を見いだすしかないだろう」と指摘する。政府は風力発電をインフラ輸出の柱に掲げており、「機器の輸出に限らず、事業への出資や運営、メンテナンスも含めた総合的なインフラ輸出を支援する」(経済産業省幹部)方針だが、けん引役となる企業が見つからないのが現状だ。【柳沢亮、和田憲二】

風力発電
 風を動力源としてブレード(羽根)を回し電気を起こす発電施設。太陽光などと並ぶ「再生可能エネルギー」の一つで、陸上に設置する「陸上風力」、海上に設置する「洋上風力」がある。

 政府は2030年度に国内の風力発電の総出力を、陸上と海上を合わせ1000万キロワットにする目標を掲げるが、18年3月時点で350万キロワットにとどまっている。

 国土が狭く山林が多い日本では、建設に適した土地が限られるうえ、近海は急に深くなるため、海底に支柱を立てる支柱式の洋上風力発電機を建設しにくい難点がある。このため船舶のように発電機を海上に浮かせる「浮体式」の開発や、国外への輸出が市場拡大のカギとなる。

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