御茶ノ水駅バリアフリー化、29日から 5年超の難工事:朝日新聞デジタルより
御茶ノ水駅バリアフリー化、29日から 5年超の難工事
細沢礼輝 2019年1月29日11時57分
バリアフリー化の遅れが指摘されてきたJR御茶ノ水駅(東京都千代田区)でエレベーターとエスカレーターが完成し、29日から上下線ホームともに使用できるようになった。狭い場所に立つ駅のため、着工から5年以上の難工事に。リニューアル工事はさらに続き、東側の聖橋口に駅前広場が登場するのは2023年度の予定だ。
JR中央線快速と中央・総武線各駅停車が接続する御茶ノ水駅は1日約20万人が利用する。神田川にかかる聖橋とお茶の水橋に設けられた東西2カ所の改札を出るには階段を上がらなければならず、駅周辺に集まる大学病院や総合病院に通院する高齢者らからバリアフリー化の要望が多数寄せられてきた。だが、神田川と高さ約7メートルの擁壁に挟まれたホームには、エレベーターやエスカレーターを設けるスペースがなかった。
そこでJR東日本は、駅構内を2階建て構造にしてスペースを捻出し、ホーム上に改札まで平面でつながるコンコースを新たに設けることを考案。13年秋、まずは神田川に資材搬入用の桟橋を設けることから開始した。耐震補強や駅前広場整備を含め、総工費は数百億円にのぼる。
今回、上り下りそれぞれのホームに、エレベーター1基と、エスカレーター2基を設置。29日午前には、車いすの利用者やベビーカーを押す女性らがエレベーターを利用していた。リウマチ治療のため、千葉県鎌ケ谷市から18年間にわたって駅近くの病院に通院しているという女性(72)は「症状がひどい時は、階段が本当につらかった。これから楽になると思うと、うれしい」と話した。
06年施行のバリアフリー新法は、1日3千人以上が利用する駅について段差解消を求めており、東京五輪・パラリンピックが開催される20年度までの「バリアフリー化率100%達成」をめざしている。国土交通省によると、18年3月末時点で、全国の対象駅3575駅のうち、89・3%にあたる3192駅でエレベーターなどによる段差解消を達成。事業者別で達成率89・0%のJR東は「御茶ノ水のように難工事が必要な駅でも整備を進め、達成率を伸ばしていく」と話している。(細沢礼輝)