日立、英原発建設計画の凍結決定で「原発輸出」は全滅 3千億円の損失計上

日立、英原発建設計画の凍結決定 3千億円の損失計上:朝日新聞デジタルより
日立、英原発建設計画の凍結決定 3千億円の損失計上
内藤尚志 2019年1月17日18時35分

 日立製作所は17日、英国での原発建設計画を凍結し、事業を中断すると発表した。計画に関連する資産の価値が下がったとして、2019年3月期に3千億円の損失を計上する。政府が成長戦略の柱として後押ししてきた「原発輸出」はこれで事実上全滅。政策の失敗が鮮明になった。

 この日の取締役会で決定した。着工の条件としていた他社からの資金協力が得られず、英政府による早期の支援拡大も見込めない状況で、「経済合理性が見いだせない」(広報)とした。今後は関連予算を計上しない。現地子会社は残すが、担当する従業員は減らす。これまで工事の準備や許認可を受ける作業などで計3千億円弱を投じてきたが、このまま続けても着工のめどが立たず、費用がふくらむだけだと判断した。

 損失の計上により、19年3月期の純利益見通しは従来の4千億円から1千億円に引き下げる。売上高の見通しは9兆4千億円で据え置く。

 計画では、英西部アングルシー島に原発2基をつくり、2020年代半ばの稼働をめざしていた。原発の安全基準の世界的な強化を受け、総事業費は最大3兆円ほどにふくらむ見込み。日立が日英両政府と昨年6月までに大筋合意した支援枠組みでは、日立、日立以外の日本勢、英国勢が3千億円ずつ出資し、英政府が約2兆円の融資に保証をつけることになっていた。

 だが、電力会社などを想定した日本勢からの出資金集めが難航。そこで日立は英政府に出資金の増額などを要請したが、欧州連合(EU)からの離脱問題が深刻化し、早期の対応が期待できなくなっていた。

 英政府は、国民の負担増につながる日立への支援拡大に慎重とみられる。計画が再開されるめどは立っておらず、このまま撤退する可能性が高い。

 日本勢による原発輸出は失敗続きだ。背景には、事業費の高騰に加え、世界的な脱原発の機運の高まりや、風力などの再生エネルギーの普及がある。三菱重工業が参画するトルコでの建設計画も、昨年12月に断念に向けた調整に入ったことが表面化。日立の計画が、実現性の残る唯一の案件になっていた。(内藤尚志)

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