キリスト教宣教師が矢面に立ってインド孤立部族に殺人を犯させる

宣教師を殺害したインド孤立部族、侵入者拒む歴史 | ナショナルジオグラフィック日本版サイトより
宣教師を殺害したインド孤立部族、侵入者拒む歴史
最後の手記には「矢が聖書を貫通した」、過去にはナショジオ取材班も
2018.12.01

 11月中旬、インド領の孤島で米国人宣教師が殺害された。この事件は、外界と接触せず暮らす孤立部族の権利について、新たな緊急の問題を提起している。

 米国ワシントン州在住のジョン・アレン・チャウ氏は「冒険家」を自称する26歳の青年で、孤島の未接触部族をキリスト教に改宗させるために北センチネル島に侵入した。

 北センチネル島は、周囲をサンゴ礁に囲まれた面積70平方キロほどの島。インドの南東、ベンガル湾に連なるアンダマン・ニコバル諸島の1つで、インド領である。ここには地球上で最も孤立していると言っていい狩猟採集民が暮らしており、部外者の立ち入りを完全に拒んでいる。

 人口の流出入がなく、基本的に外界との接触がないセンチネル族の人々が、いつからこの島に住んでいるのか、正確なところは誰も知らないが、いくつかの研究により、数万年前にアフリカから移住してきた可能性が示唆されている。

 センチネル族の人々は弓の名手で、外の人間が島に接近すると、追い返すために激しく攻撃してくることで知られる。森に覆われたこの島の住人は彼らだけで、人口はおそらく100人程度。過去の接触の試みは、槍と矢の雨で迎えられた。

 1974年には、アンダマン諸島のドキュメンタリー番組の制作のためボートからセンチネル族を撮影していたナショナル ジオグラフィックTVのディレクターが、投げつけられた槍で負傷する事故が起きた。遠征に同行したナショナル ジオグラフィックの写真家ラフバー・シン氏はこのとき、白い砂浜で弓と矢を掲げて小躍りする戦士たちを撮影。この写真は、外界からの接触を拒絶するセンチネル族を象徴する写真となっている。

 彼らの猛々しさを示す事件は、2006年にも起きた。舟で眠っている間に北センチネル島の砂浜に漂着してしまった2人の漁師が、センチネル族によって殺害されたのだ。遺体を回収するためにヘリコプターが着陸を試みたが、島民がヘリコプターに矢を放ってきたため、回収は断念された。(参考記事:「アマゾンの「海賊」に襲撃された家族、無事生還」)

 今回殺害されたチャウ氏は、最初に上陸を試みた11月15日の体験を日誌に記していた。

 彼はまず、防水加工された聖書を高く掲げた。すると、島から矢が飛んできて聖書を貫通したという。さらに2人の男性が弓に矢をつがえるのが見えたので、チャウ氏は慌ててカヤックを漕いで退却した。彼は漁師たちに約350ドルを支払って島の近くまで送ってもらい、海上で待機してもらっていた。

サタンの最後の砦
 チャウ氏は日誌に、北センチネル島の人々は「サタンの最後の砦」なのだろうかと記し、「彼らはなぜ、こんなにも身構え、敵意をむき出しにするのだろう?」と、自分が歓迎されなかったことに失望していた。

 おそろしい思いをしたにもかかわらず、チャウ氏はその夜、再び島に行くことを決めた。そして漁師に、今回は自分を待たず、アンダマン諸島を管轄する行政府があるポートブレアにいる友人に手紙を届けるように指示した。

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