タトゥー巡る変化とらえた判決 今も目立つ彫り師摘発 先に資格制度を作らんかい!

タトゥー巡る変化とらえた判決 今も目立つ彫り師摘発:朝日新聞デジタルより
タトゥー巡る変化とらえた判決 今も目立つ彫り師摘発
大貫聡子、一色涼、阿部彰芳2018年11月14日21時39分

 医師免許がないのに客にタトゥー(刺青〈いれずみ〉)を施したとして、医師法違反罪に問われた彫り師に対する控訴審判決で、大阪高裁は14日、罰金15万円(求刑罰金30万円)とした一審・大阪地裁判決を破棄し、無罪を言い渡した。西田真基裁判長は「タトゥーは医療を目的とする行為ではない」と述べた。

 「被告人は無罪」。西田裁判長がそう告げると、法廷に驚きと喜びが入り交じった歓声が上がった。判決後に大阪市内で開かれた集会で、増田太輝被告(30)は「声を上げたことは間違っていなかった」と語った。

 高校2年の時、音楽ライブの会場で見たタトゥーの実演で「こんなアートがあるのか」と衝撃を受けた。基礎的な技術を学び、自分の体で練習を重ねて2011年にスタジオを開いた。

 自分がやりがいを持って懸命にやってきたことは、犯罪だったのか――。増田さんは略式起訴に納得できず、正式裁判で無罪を争う一方、彫り師仲間と業界団体「SAVE TATTOOING」を立ち上げ、安全な施術のための法整備やタトゥー文化への理解を求めて活動してきた。

 増田さんは略式起訴後も「彫り師」を名乗ってきた。日本では今も任俠(にんきょう)映画などの影響で暴力団との関連など負のイメージが浸透していると感じるが、控訴審判決は「タトゥー施術は反社会的ではなく正当な職業」と言及した。「彫り師としての人生を取り戻すため、最後まで強い気持ちで闘う」

 近年は自己表現や芸術としてタトゥーを施す若い世代が現れ、温泉旅館などでタトゥーをした外国人らを受け入れる動きが出始めている。この日の判決も「若者を中心にファッション感覚、心情の表現としてタトゥーを入れる人が増加している」と意識の変化をとらえた。

 だが、今も彫り師の摘発は目立つ。その根拠は2001年の厚生労働省の通達だ。「針先に色素をつけながら皮膚の表面に色素を入れる行為」は医師しかできないとしている。眉や目尻に墨を入れる「アートメイク」を想定していたが、タトゥーやレーザー脱毛の施術にも及び、「行政に拡大解釈された結果、警察捜査に利用された」と指摘する声もある。厚労省の担当者は判決について「係争中なのでコメントできない」としている。

 一方、施術による感染症のリスクを懸念する声や、「タトゥーを消せない」などと訴えるトラブルも絶えない。これまでタトゥーの除去治療を1千件以上手がけてきた六本木境クリニック(東京)の境隆博院長によると、タトゥー除去手術の費用は高額で、激しい痛みも伴うが、知らずにクリニックを訪れる若者が少なくないという。「医師免許ではなく、彫り師をライセンス制度で管理するなど、正しい情報提供や顧客の安全性を確保する仕組みが必要だ」と警鐘を鳴らす。

 増田被告の弁護団の吉田泉弁護士(第一東京弁護士会)によると、彫り師の間でも危機感は広がっており、適切な法整備や彫り師の信頼向上などを目指す当事者団体も近く発足する予定だ。(大貫聡子、一色涼、阿部彰芳)

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