エボラウイルス、初の輸入検討 住民「納得できない」 豚インフルエンザさえ防げない国が

エボラウイルス、初の輸入検討 住民「納得できない」:朝日新聞デジタルより
エボラウイルス、初の輸入検討 住民「納得できない」
黒田壮吉、水戸部六美2018年11月15日19時12分

 エボラ出血熱など海外で発生している重大な感染症の検査体制を強化するため、厚生労働省は15日、海外から原因ウイルスを輸入する検討を始めた。国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)の研究施設に保管する方針。この日、同庁舎で地元住民との協議会を開き、同省は理解を求めたが、反対の声が上がり合意は得られなかった。

 感染症法で最も危険性が高い「一類」に指定された5種類の感染症の病原体が対象。エボラ出血熱のほかラッサ熱、南米出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病がある。一類の病原体は原則輸入できず、「バイオセーフティーレベル(BSL)4施設」でしか扱えない。国内には村山庁舎にしかなく、一類の病原体の輸入が決まれば初となる。

 この日の協議会で、厚労省は病原体の提供を受けることを提案したが、住民は受け入れなかった。近くに住む雷塚自治会の須藤博事務局長は「五輪だから認めろというのはおかしな話。不安もあり、納得できる状況にはない」と訴えた。

 エボラ出血熱は、国内での発症例はないが2014~15年にアフリカで大流行し、米国にも原因ウイルスが持ち込まれた。今年もコンゴ民主共和国で発生が続く。一類のラッサ熱では、流行地のアフリカから帰国した人の発症例が、1987年に報告されている。

 国内では近年、海外からの観光客が急増し、17年は約2700万人が入国。多くの国・地域から人が集まる20年の東京五輪・パラリンピックに向け、厚労省は検査体制を強化することにした。厚労省によると、現在の検査法は人工的に合成した病原体を使っており、治療効果を判断するために用いる中和抗体法という検査ができない。本物の病原体を使うことで、多くの先進国並みの検査法になり、より正確な診断が可能になる。海外任せだった動物実験もできるようになり、日本人研究者の育成にもつながるという。

 協議会に参加する委員の笹川千尋・千葉大学真菌医学研究センター長は「病原体の保管は、患者を迅速、正確に診断するためには欠かせない。ただ住民には懸念もあるので理解を得るために丁寧に話し合ってほしい」と語る。(黒田壮吉、水戸部六美)

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 〈BSL4施設〉 BSLは「バイオセーフティー・レベル」の略。世界保健機関(WHO)が指針で定めた病原体を扱う施設の基準で4段階ある。4は最も厳しい基準で、エボラウイルスやラッサウイルスなど最も危険な病原体について培養や保管、動物実験ができる。世界では24カ国に約60施設ある。国内では、1981年に村山庁舎に建設されたが、病原体の外部への漏出などを心配する地元住民の反対もあり、15年夏まで稼働していなかった。長崎大でも設置を検討している。

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