核ごみ処分場の応募、先送りに 村議会「勉強時間必要」

核ごみ処分場の応募、先送りに 村議会「勉強時間必要」:朝日新聞デジタル より

核ごみ処分場の応募、先送りに 村議会「勉強時間必要」
伊沢健司、佐久間泰雄、前田健汰、原田達矢、斎藤徹、松尾一郎
2020/9/17 11:07 会員記事
 「核のごみ(原発から出る高レベル放射性廃棄物)」の最終処分場をめぐり、国の選定プロセスへの応募検討を求める請願を審議していた北海道神恵内村議会の委員会は16日、継続審査とすることを決めた。議会や村民への十分な説明が必要だとして、今後、国や原子力発電環境整備機構(NUMO)に説明会の開催を求める。今後は説明会での村民の反応や、それを受けた議会や村の対応が焦点となる。(伊沢健司、佐久間泰雄、前田健汰、原田達矢、斎藤徹、松尾一郎)
 請願は15日の村議会本会議で総務経済委員会に付託され、16日の同委で議論された。メンバーは村議8人全員だ。非公開の委員会では、①請願の継続審査②国とNUMOに「核のごみ」の処分について委員会に説明を求める③国とNUMOに村内での住民説明会の開催も求める、の3点を決めた。請願の採決はいったん見送られ、まずは議会と住民への十分な説明を求める形となった。
 請願を巡っては、11日に提出の動きが明らかになった後、15~17日の村議会で賛成多数で一気に採択されるとの見方もあった。
 村は北海道電力泊原発がある泊村に隣接し、電源3法に基づく原発立地地域への交付金も得ている。請願を出した村商工会の会長は村議の上田道博氏が務める。商工会はかねてNUMOを招いた勉強会を行い、応募で得られる交付金も念頭に、検討を村に求める準備を進めていた。賛成の立場の村議からは「村内に原発へのアレルギーはない」との声もあった。それがなぜ、「先送り」される形になったのか。
議論かみ合わず…

 16日午前に始まった委員会で、請願が本格的に議論されたのは午後に入ってから。関係者によると、請願について上田村議ら2人が説明したが、別の村議から「村内の地盤に問題があるのでは」「核のごみの輸送手段はどうするのか」などと専門的な質問が出たという。
 処分場に慎重とみられる村議らとの議論がかみ合わない中、村議の1人が「今の議会で採決するのは時期尚早ではないか」と継続審査を提案。他の議員からも「我々議員も勉強する時間が必要だ」「今すぐに結論を出せる問題ではない」などの声が出て、満場一致で継続審査が決まった。村議の1人は「多数決でやれば(採択が)決まってしまうと思っていたので驚いた」と話す。
 その後論点となったのは住民への説明会の方法だった。慎重派とみられる村議からは、処分場を推進する国やNUMOだけでなく、村内の地盤を懸念する学者も招くべきだとの意見が出た。しかし別の村議は、説明会は国の応募プロセスについて聞く場にすべきだと反論。結局、賛成多数で説明会は国とNUMOに求めることになった。
 応募検討の請願に対する村議会の判断はひとまず先送りされた。しかし、議会や住民への説明会後に、議会として請願をどう取り扱うかの判断を改めて迫られることになる。
議会の対応、村民の反応は?

 村議会が継続審査を決めたことを受け、取材に応じた高橋昌幸村長は「重要な問題なので、議会として、きちんと時間をかけて審査をしていくということだと思う。村としてはその経過を見守りたい」と話した。
 村議会定例会は17日に閉会するが、閉会中の委員会での国やNUMOの説明や、住民への説明会を経て、改めて請願について議論する。採択されれば、議会は処分場の応募検討に理解を示した形になる。ただ、採択は村への法的な拘束力はない。
 高橋村長は処分場についての見解を問われると、「私の意見は申し上げない。議会がこれから議論する。それに影響を与えるようなことは厳に慎まなければならない」と明言を避けた。ただ、11日の会見では「最終処分場は国が推進しているが、私自身は関心を持っている」と述べており、この日も「(私の考えは)前に話したことと同じ」と語った。
 議会の対応に対し、村民の意見は様々だ。
 請願を出した村商工会の米田秀樹・地域振興委員長(62)は取材に「すぐに採択ということにならなかったのは、議会がそう決めたことなので尊重したい」と話した。処分場を推進する立場から、「国とNUMOに説明してもらい村の理解が深まるのが一番大事。議会は議論を尽くして理解を深めてほしい。村長は議会判断をふまえ、しかるべきときに適切な判断をしてほしい」という。
 一方、14日に応募反対の陳情書を議会に出した滝本正雄さん(87)は「まずは、継続審査が決まってくれて良かった。これで一つ安心できる」と話す。今後は、「子どものために果たすべき責任は何なのか。どういう決断をすべきなのか、一人ひとりの議員に対して問いただしていきたい」という。
 村議会が国とNUMOへの説明や住民説明会を求めていることについて、経済産業省資源エネルギー庁は「説明を聞きたい、知りたいといっていただくのは非常にありがたい。処分事業の必要性を積極的に説明し情報提供したい」(放射性廃棄物対策課)としている。NUMOも講師を派遣する方針で、要望に応じて説明会の日程を調整するという。
「核のごみ」最終処分場をめぐる北海道内の経緯

《8月》
13日 寿都町の片岡春雄町長が「核のごみ」最終処分場の選定プロセスへの応募検討の意向を表明
18日 鈴木直道知事が寿都町の動きを「拙速」と批判。国の選定プロセスは「札束でほおをはたくようなやり方」と言及
21日 鈴木知事が定例会見で、寿都町が文献調査の次の「概要調査」に進む際、「法の手続きに従い反対の意見を述べる」と表明。核のごみを「受け入れがたい」とする道条例を盾に反対姿勢を鮮明に
《9月》
3日 鈴木知事が寿都町で片岡町長と初会談。文献調査応募への反対姿勢を伝え、概要調査に進む際は反対意見を述べると伝える。片岡町長は「条例が法律の上にいくことはあり得ない」と反論し、最終段階の「精密調査」まで進む意欲を示す
4日 鈴木知事が経産省で梶山経産相と会談し、寿都町の方針に反対する姿勢や、国の最終処分場選定方法への疑問を伝える。梶山経産相は「条例があるから文献調査ができないことにはなっていない」とする一方、「概要調査で道の反対があれば先へ進めない」と述べる
10日 寿都町で最大規模の住民説明会が開催。片岡町長の姿勢を疑問視する声が相次ぐ。片岡町長は応募検討方針を変えず
11日 神恵内村商工会が最終処分場の応募検討をめざす請願を村議会に提出したことが判明
15日 神恵内村議会が開会。処分場の応募検討をめざす請願を委員会に付託
16日 神恵内村の総務経済委員会で、請願を継続審査とすることを決定。国と原子力発電環境整備機構(NUMO)に対し、委員会での説明と住民説明会の開催を要請へ


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