「ベランダ発電」広がる 装置はネット通販、自力で設置

「ベランダ発電」広がる 装置はネット通販、自力で設置:朝日新聞デジタルより
「ベランダ発電」広がる 装置はネット通販、自力で設置
中村正憲2018年11月9日14時49分

絵画用のイーゼルに太陽光パネルを置いてベランダ発電に取り組む三上亜弥さん=大阪府豊中市

 「ベランダ発電」がじわり広がっている。屋根のないマンションやアパート暮らしでも、日当たりの良いベランダがあれば、小型の太陽光パネルを置いて「発電所」にできる。口コミで広がる「入門書」は増刷を重ねている。

 大阪府豊中市の公務員三上亜弥さん(35)は昨年8月、60センチ四方の太陽光パネルを約1万2千円で買い、マンション3階の東向きのベランダに置いた。出力は50ワット。これを自動車用鉛バッテリーにつないで蓄電。充電量を管理するチャージコントローラーや、直流を交流に変えるインバーターも自力で取り付けた。装置はネット通販で手に入れ、材料費は計約2万8千円だった。

 2007年、大阪外国語大(現大阪大)を卒業した「文系人間」。電気の知識はなかったが、口コミで広がる太陽光発電の入門書「わがや電力」(著者・テンダー)をネットで手に入れ、熟読した。NPO法人「豊中市民エネルギーの会」の理事で電気設備に詳しい会社員の平田賀彦さん(48)の指導を受けて、昨年9月30日から発電を始めた。

 普段は携帯電話の充電とLEDの室内灯の電気をまかなっている。124ワットのテレビの電気は供給できないとプラグを抜いた。この夏の猛暑も扇風機1台で乗り切った。「発電を始めて60ワットの白熱灯を8ワットのLEDに変えた。毎日使う電気をどれだけ節約できるか真剣に考えるようになった」と言う。月間の電気使用量は平均43キロワット時で、月額の電気料金は昨年10月以降、3割減った。

 電気の自給を目指そうと考えたのは、16年10月に福島県を旅してからだ。休みにレンタカーで東京電力福島第一原発を見に行った。「この先双葉町 帰還困難区域」の看板があり、そこから先に行けないことを知った。海側に家はなく、山側は背丈まで伸びた雑草が無人の家を覆い隠していた。

 「そこに住んでいた人たちが帰れなくなったことを思うと、運転しながら涙が止まらなくなった」。豊中に帰り、「地震国日本で、原発に頼って誰かが犠牲になるシステムの中に身を置く矛盾を考えた」と話す。

 三上さんに発電方法を助言した平田さんも、原発事故の翌12年から豊中市の自宅でベランダ発電を始めた。10ワットから40ワットの太陽光パネル5種類を設置。そのうち持ち運べるシート式パネルは自分で考案した。「使う電気をなるべく少なくし、いつ起こるか分からない南海トラフ地震に備えたい」と話す。

 三上さん宅は9月4日、台風21号の影響で午後2時半から翌朝まで停電した。「ベランダ電気が大活躍。一晩の電気と携帯の充電は問題なかった」と言う。

 入門書「わがや電力」の著者のテンダー(本名・小崎悠太)さん(35)は、「鹿児島県南さつま市のわが家では水と電気を自給して暮らしている。昭和30年代の暮らしをすれば地球上の70億人が暮らしていける」と話す。15年7月に発刊した入門書は増刷を重ね、1万部を超えた。

    ◇

 「ベランダ発電」の実践講座が、10日午後2時から大阪市中央区のエル・大阪(府立労働センター)で開かれる。三上さんと平田さんらが講師を務める。問い合わせは主催の「原発ゼロの会・大阪」(06・6949・8120)へ。(中村正憲)

関連記事Similar Posts:

カテゴリー: 原子力はパンドラの箱, 気になるニュース パーマリンク