科学研究における「感情」の定義や「人にはどのような感情があるのか」はそもそも明らかではない、という指摘 – GIGAZINEリンク

科学研究における「感情」の定義や「人にはどのような感情があるのか」はそもそも明らかではない、という指摘 – GIGAZINEより
2018年07月13日 07時30分 サイエンス
科学研究における「感情」の定義や「人にはどのような感情があるのか」はそもそも明らかではない、という指摘

私たちは日常的に喜び・悲しみ・怒りなどを感じることから、「感情についてよく理解している」と思いがち。しかし、実際のところ、神経科学的には「感情はいくつあるのか」や「そもそも感情とは何なのか?」ということすらわかっていないとのこと。「The Neuroscience of Emotion: A New Synthesis」という本で、神経科学者のRalph Adolphs氏とDavid J. Anderson氏が「感情について語る時に重要なこと」が何かについて述べています。

A neuroscientist explains why we need better ways to talk about emotions – The Verge
https://www.theverge.com/2018/7/6/17537950/neuroscience-emotion-ralph-adolphs-david-anderson

2人の研究者によると、多くの科学者は「感情とは何なのか?」という質問を置きざりにして「人間はいくつの感情を持っているのか」ということに焦点を置きがちとのこと。しかし感情というものは映画「インサイド・ヘッド」のようにはっきりと区切って分けられるものではなく、嫉妬や羞恥心は感情に含まれるのかなど、神経科学的には感情の理解・分類にはわかっていない部分が多々あります。

また、感情は言語的・文化的側面を持つものであり、例えばドイツでは「自分が手を下すことなく他者が不幸、悲しみ、苦しみ、失敗に見舞われたと見聞きした時に生じる、喜び、嬉しさといった快い感情」をシャーデンフロイデと呼びます。しかし、英語や日本語にシャーデンフロイデと同一の言葉は存在しません。このような言語的・文化的な要素を科学的に分類するのは非常に難しいとのこと。

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定義や分類の難しさから、心理学者や神経学者が「感情」と定義して議論しているものが、異なるものであるという事態がしばしば生じます。

たとえば「恐怖」についていうと、動物を対象とした研究の場合、研究者は動物が「逃げた」時に脳の神経回路で何が起こったのかを調べます。一方、人間も意識を持っており、主観的に恐怖を感じますが、人間が感じる恐怖の種類は動物よりも多様なため「人間の恐怖」を測る決まった方法は存在しません。動物は「恐れ」ますが、「恐れることを考える」ことはないのです。

そのため人間の「恐怖」を調べる方法は多数存在します。最も簡単なのは動物と同じ生物学的な状態を調べることですが、その他に「意識的な体験」「恐れることについて考えること」について調べる方法もあります。科学研究の中にはこれらの区別について問題視していないものもあるので、注意が必要です。

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