利用者あっての建物であり、使えないのは恥だ。 国連権利条約では『我々のことを我々抜きで決めるな』と障害者が主張していいものができた。名古屋城でもその方向性を求めたい。 『できないから我慢しろ』ではなく、前提条件から直せ。

なんのための「名古屋城跡バリアフリー検討会議」? : 市民オンブズマン 事務局日誌より
2018年 04月 24日
なんのための「名古屋城跡バリアフリー検討会議」?

18/4/24に、有識者で構成する「特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議」が開催されました。今回も議論は録音・テレビ撮影不可でした。
・配付資料 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180424.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるまとめ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180424-1.pdf

建築・地盤工学関係、建築史関係、福祉関係、工学関係の学識者を招いていますが、「専門的見地から意見を聴取する」とするだけで、庁内会議である「名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」との関係・位置づけもはっきりしません。

有識者16人のうち、「天守閣部会」の人は6人います。
17/11/16に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 第6回天守閣部会が開催され、「エレベーターは設置しない。ただし、代替案で車いす使用者等の合理的配慮を目指す」とした市の方針に異論を出さなかったため、障害者団体が反発して「2018年5月までにエレベーター設置の有無の方針を決める」ということではなかったのでしょうか。

オブザーバーとして、1級障害者、電動車椅子の人が来て発言しました。
「1級障害者や老人は2階まで階段を上るのが苦痛・つらい」「現在でもエレベーターに行列が出来ている。今より使いにくくなるのはおかしい。VR、ハートフルデーは障害者に対する差別だ」としました。

それでは、上記の人も全員が最上階まで上がれるようにしよう、というものかといえば、そうでもないようです。

市長の挨拶のあと、有識者がそれぞれの立場で意見をいいました。
それなりの意見は出ましたが、意見の対立は大きく、これでまとめるとはとても思えません。

交通計画、福祉のまちづくりが専門の、磯部友彦・中部大学教授は「バリアフリーについて、だれがどこで検討したのか。当事者はいたのか」と質問したことに対し、名古屋城総合事務所の蜂谷氏は「VR、ハートフルデーについて、メーカー、学識経験者でこれまで議論してきた。障害者は同席していなかった」と述べました。
磯部教授は「私は名古屋市健康福祉局の有識者会議で座長をしている。
http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000002473.html
そこで議論ができればよかったが、情報がなかった。今回は個人的意見を述べる。
「中部空港方式」が話題となった。2005年開港したが、2000年頃から障害者とともに設計段階から議論し、高い評判を得ている。『中部国際空港のユニバーサルデザイン』冊子にまとめた。https://amzn.to/2vNLOmZ
愛・地球博もそのメンバーでおこなった。
利用者あっての建物であり、使えないのは恥だ。
国連権利条約では『我々のことを我々抜きで決めるな』と障害者が主張していいものができた。名古屋城でもその方向性を求めたい。
『できないから我慢しろ』ではなく、前提条件から直せ。押しつけるのは技術者の恥だ。
福祉の世界では『史実』は暗い歴史。恐怖感があり使ってもらいたくない。『史実を参考』にいいものを使っていく。ハッピー Win-Winに。
VRでよいのなら作らなくてよい。VRの中で史実に忠実にすればよい。
私も名古屋市民で、建設した昭和34年は子どもの時代で名古屋の誇りだ。外観が誇りで、中にあるのは展示もの。中でも外でもどこでもよい。
一番上にのぼりたいが、高いビルも多くある。ここで議論しているのが実用的な名古屋城なのか、工芸品なのか。
史実に忠実なら模型でよい」と述べました。

福祉のまちづくりが専門の、高橋儀平・東洋大学教授は「社会的な公平性をぜひ記憶にとどめてほしい。これからの文化財を歴史の中でどう作っていくのか。
観光地のバリアフリーについて是非議論を進めて欲しい。エレベーターは4人乗りではダメで、国のバリアフリー法であれば、11人乗り、最低でも15人乗りにしてほしい」としました。

福祉工学が専門の渡辺崇史・日本福祉大学教授は「バリアフリーだけを取り上げて議論するのは違う。観光資源、安全対策で安全・楽しめるように。
対象者を障害者・高齢者だけは違う。アクセシビリティ アクセシブルな環境を。当事者参加無しには考えられない
2022年にはオリンピック・パラリンピック終わっている。世の中の視点は単にバリアがないことがアクセシビリティではない。活動できるように。いろんな意見を出し合って決める過程が重要」としました。

機械安全・ロボティクスが専門の、山田陽滋・名古屋大学大学院教授は「通常時・避難時の技術は分けるべき。元産総研にいた。エレベーター事故を二度と起こさないためにはどうすればよいか。避難時は新しい技術を入れるべきでは無い。VR、段差階段昇降機は非常時に使うのではない。
エレベーターしか回答がない。外か中かといえば、僕は外に付けるしかないと思う。階段を付ける。皆さんでどう判断するか。
中に付けるのなら、文化庁との戦い 史実の復元にどう影響するのか。
新しいテクノロジーには反発がある。コンセンサス会議などシティズンワークショップを行い、非専門家と専門家の溝をどう埋めるか。社会の皆さん含めて取り組んでいる」としました。

磯部教授は「階段の模型を作ってどうやって使うのか試してみればよい。作ればよい。どうしてやらなかったのか。机上の空論では進まない」としました。

オブザーバーの近藤佑次・愛知県重度障害者の生活をよくする会会員は
「私としてもエレベーターが必要ではないかという意見だ。名古屋市の目玉で様々な人訪れる。
個人的に来る人もいれば、家族、仲間、学校、友達と来る。もし考えて欲しい。大切な人がエレベーターが必要ならどうしたほうがよいか。心に留めて考えて欲しい。
非常に大きな事業なので、やはり全ての人を第一に。プライベートで作る、楽しむのなら誰も言わない。
『様々な人の人権を守ろう』行政が無視して突き進むのはだめ。」としました。

オブザーバーの斎藤縣三・NPO法人わっぱの会理事長は「今日は第1回目だが、市は5月中に決めるとしている。有識者はそれぞれ考え方が違う。当事者参加が重要だとしたが、5月中にに決着をつけるとした。どうするのか」と質問したところ、西野輝一・名古屋城総合事務所所長は「継続して議論する。エレベーター・昇降については5月中に結論を出す」とするのみ。

——-
この有識者会議の目的はよく分かりませんが、開催要綱第2条で「特別史跡名古屋城跡全体のバリアフリーに関すること」とあるので、木造天守閣のエレベーターについては5月に決着をつけ、その後は「木造天守閣以外のバリアフリー」について検討する可能性があることに気がつきました。

現在、名古屋城を訪れる人のほとんどが、名古屋城天守閣に登っています。5月以降に天守閣のバリアフリー以外のバリアフリーについて議論するのではなく、2018年5月と期限を切らず、十分に「当事者参加」「情報公開」を行い、十分この有識者会議で議論することを望みます。

———-
名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm


関連記事Similar Posts:

カテゴリー: 気になるニュース, 福祉のまちづくり, 障害福祉 パーマリンク