大阪の地下街、エレベーターどこ? 表示進まぬ背景

大阪の地下街、エレベーターどこ? 表示進まぬ背景:朝日新聞デジタルより
大阪の地下街、エレベーターどこ? 表示進まぬ背景
鈴木洋和2018年3月30日12時44分

 雨風を避けられる快適な地下街。しかし、足などが不自由な障害者にとっては“近くて遠い場所”だ。地上から降りるにはエレベーターが必要だが、どこにあるのか街中で見つけるのは困難だから。「地下街とつながっているビルは、表示を出して」。そんな声を、大阪の障害者たちが上げ始めた。

 大阪市中央区の地下鉄御堂筋線なんば駅の地上周辺は、商業施設やオフィスビルが立ち並ぶ繁華街だ。地下街につながる階段は、いくつも目にとまる。障害者支援のNPO法人ちゅうぶ(大阪市東住吉区)によると、60カ所ほどある。

 しかし、段差がなく、車いすでも使えるエレベーターは11カ所で、量販店などのビルの中だ。うち7カ所には、ビルの外側に案内表示が無い。

 事務局長の石田義典さん(59)は「エレベーターはあっても地下の階が地下街へ通じていないビルも多い。初めて来る人だと、20分ほど探し回る人もいる」と話す。

 ちゅうぶを含む複数の障害者団体は昨年、手作りの案内表示を見本として作成した。現在、「ここに案内表示があったら助かる」という資料を作り、ビルの管理会社に提案中だ。大阪市職員が同行することもある。

 高額な費用や大きな作業が必要なわけではないが、表示はなかなか進まない。

 バリアフリー法施行令には「建築物又(また)はその敷地には、エレベーターの配置を表示した案内板を設けなければならない」とある。しかし、国土交通省によると、「あくまで建物を使う人が対象で、歩道を行き交う人のためではない」(建築指導課)として、エレベーターの案内板を屋外に表示することは想定していないという。

 責任主体があいまいなことも理由の一つだ。ある管理会社は「難波全体で取り組まないと意味が無い。表示の仕方やデザインなど共通の基準を大阪市が決めて」と求める。一方、大阪市は、たとえ基準があっても強制力がないとして「現時点で作る予定はない。バリアフリーの観点から、表示に協力してもらえれば」と議論はすれ違っている。

 ビルの管理者の中には「ビルの利用者のためのエレベーターなので、利用者以外の人に知らせたくない」という考えもある。

 車いすで生活する、NPO法人あるる(大阪市都島区)事務局長の鈴木千春さん(39)は「街にはいろんな人がいるという前提で考えてほしい」と話している。

新宿では官民一丸で対策
 官民で議論が進んでいるところもある。

 東京都は2015年、新宿ターミナル周辺の案内表示改善とバリアフリー推進を目指し、協議会を作った。行政のほか、鉄道、商業ビル、地下街などの関係者20人ほどがメンバーだ。

 都によると、新宿ターミナルには鉄道12路線が乗り入れ、1日の乗降客数は日本で最も多い約360万人にのぼる。

 新宿にも、地下街へ通じていても表示のないビルが少なくない。協議会はビルの外側にエレベーターの案内表示を付けてもらう方向で、複数のビルと調整している。20年の東京五輪までに実施する予定だ。都の堀川誠司・交通プロジェクト担当課長は「訪れる人の目線に立ち、誰もが利用しやすいターミナルにしたい」としている。(鈴木洋和)

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