把握進まない「震災障害者」、孤立も 東日本・熊本で

把握進まない「震災障害者」、孤立も 東日本・熊本で:朝日新聞デジタルより
把握進まない「震災障害者」、孤立も 東日本・熊本で
千種辰弥、辻村周次郎2018年1月12日05時11分

 震災で負傷し、後遺症が残った「震災障害者」の実態把握や支援が進んでいない。対策を促すため、厚生労働省は昨年3月、身体障害者手帳の申請書類の原因欄に「自然災害」の項目を加えるよう全国の自治体に通知したが、応じないケースもある。東日本大震災と熊本地震で自治体が把握しているのは計120人にとどまっており、孤立している震災障害者がいる可能性もある。

 震災障害者は、家や仕事、体の自由を同時に奪われ、長引く療養生活で生活再建に関する情報が得にくい場合もある。自治体も把握しにくく、社会から取り残されやすい。

 災害時の金銭補償は、亡くなった場合、災害弔慰金法に基づき、遺族に最大500万円が支給される。負傷では両足切断など1級障害相当でない限り災害障害見舞金(最大250万円)は支給されず、そのほかは対象外になっている。障害者手帳を取れば、事故などの障害者と同じ補助を受けられる。

 阪神・淡路大震災では、兵庫県と神戸市の調査で349人の震災障害者が判明。総合的な支援の必要性が指摘され、県は2013年に専用の相談窓口を設置し、復興支援専門員らが年金や介護、住宅など生活に関する相談に応じている。

 朝日新聞が東日本大震災と熊本地震で重傷者が出た19都県と5政令指定市を対象に震災障害者について調べたところ、人数を把握していたのは岩手県(8人)、宮城県(38人)、仙台市(40人)、福島県(26人)、熊本県(5人)、熊本市(3人)の6自治体で計120人だった。東北3県と仙台市は2012年8月~16年9月時点の数字で、その後は追跡調査をしていなかった。

 岩手、福島両県は、災害障害見舞金の受給者数を下回っていた。阪神では震災障害者が5倍以上で、東日本では十分に実態が把握されていない実情が浮き彫りになった。

 また、専用の相談窓口など震災障害者に絞った支援策を実施している自治体はなく、いずれも「予定はない」と回答。岩手、熊本両県は「今後大規模災害が発生した場合、被災状況に応じて支援策を検討する」などとした。

 厚労省の通知は支援策を検討するための第一歩だが、24自治体のうち12自治体は昨年12月までに「自然災害」を原因に加えていなかった。東京都は「漠然としすぎており、検討に有益かどうか疑問」と回答し、自治体ごとに対応が異なっていた。

 岩崎信彦・神戸大名誉教授(地域社会学)は「東日本大震災では死者に比べて重傷者が少なく、より孤立感を深めるおそれがある。首都直下型地震が起きれば、多くの震災障害者が出る可能性が高く、備える意味からも震災障害者の実態を把握し、支援策を講じる必要がある」と話す。(千種辰弥、辻村周次郎)

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