長期記憶の仕組み解明 基礎生物学研、「認知症薬開発に光」ではなくPTSDを長期記憶できなかった事例

長期記憶の仕組み解明 基礎生物学研、認知症薬開発に光:朝日新聞デジタルより
長期記憶の仕組み解明 基礎生物学研、認知症薬開発に光
小西正人2017年12月24日14時05分

 記憶を長期間維持するための脳内のメカニズムを解明したと、基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)などの研究グループが発表した。将来は認知症などの薬の開発につながる可能性もあるという。英オンライン科学誌eライフに掲載された。

 数時間から数年間にわたる長期記憶には脳内のたんぱく質合成が必要なことはこれまでに判明していたが今回、椎名伸之准教授(神経細胞生物学)らのグループが解明したのは、そのたんぱく質を合成する仕組み。カギになるのは、神経細胞内のたんぱく質RNG105という因子だ。

 遺伝子操作で因子を欠損させたマウス16匹と正常なマウス16匹を明るい部屋と暗い部屋を自由に行き来できる装置に入れ、一度暗い部屋に電流を流して不快な経験を学習させた。正常マウスは1週間後も暗い部屋を避けた一方、欠損マウスは5分後には暗い部屋を避けたものの、1週間後はほぼ元通り暗い部屋に出入りするようになり、長期記憶が著しく低下した。

 また、長期記憶を形成する際に脳内で神経細胞間のつなぎ目(シナプス)が大きくなるシナプス強化という現象について、顕微鏡で観察したところ、因子欠損マウスではシナプス強化が持続せず、神経の伝達機能もうまく働かなかった。

 さらに正常・欠損マウスの神経細胞を比較観察し、RNG105因子が、シナプス強化に必要なたんぱく質を合成するための設計図にあたる伝令RNAを、シナプス近くに運んで集めていることを解明したという。

 椎名准教授は「将来、認知症のほか、自閉症スペクトラムや筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの薬の開発に役立つことが期待される」と話す。(小西正人)

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