障害者差別事例 寝台型車イス、新幹線はダメ? JR東日本が一時乗車を拒否

寝台型車イス、新幹線はダメ? JR東が一時乗車を拒否:朝日新聞デジタルより
寝台型車イス、新幹線はダメ? JR東が一時乗車を拒否
編集委員・石橋英昭2017年12月4日06時26分

 筋ジストロフィー患者の詩人、岩崎航(わたる)さん(41)=仙台市=が寝台型車イスを使って新幹線での北海道行きを計画したところ、JR東日本仙台支社が車イスのサイズが規程に合わないことを理由に、一度は認めた乗車を拒んでいたことがわかった。同支社は最終的に「医療目的」として乗車を認めたが、「一時的に冷たい対応となり申し訳なかった」としている。

 人工呼吸器をつける岩崎さんは常時介助が必要で、外出には普通の車イスより大きい寝台型の車イス(幅70センチ×長さ129センチ)を使う。4日~13日、治療やリハビリのため北海道の病院に入院することになった。重度になってから新幹線を使うのは初めてだ。

 本人や父武宏さん(75)によると、11月18日に武宏さんが駅事務室を訪ね、車イスの大きさや入院することを説明して乗車を相談。その日のうちに「予約が取れた」と連絡があった。

 武宏さんは駅に引き返して、駅担当者と乗車予定のはやぶさ型編成の5号車を計測。岩崎さんの寝台型車イスは、座席一つ分を外した専用スペースに収まらず、通路にはみ出し、高さもあってぶつかりやすいことがわかった。

 ただ、担当者は「具合が悪くなるなどした乗客のために設置されている多目的室や、デッキにいればよい」と助言。武宏さんは、みどりの窓口で同行する両親やヘルパーの分も合わせた切符を購入した。

 ところが20日、同じ担当者から武宏さんに電話があり、「車イスのサイズが規程に合わず乗車できない」「仙台支社の判断だ」と告げられたという。

 JR東日本の「旅客営業取扱基準規程」では、持ち込める車イスは幅70センチ×長さ120センチまで。だが2日前には基準を上回ることを伝えた上で、発券まで受けていた。武宏さんは納得できず同支社にも問い合わせたが、「担当部署がわからない」との返事だった。

 JR側は21日、また態度を一変。同支社サービス品質改革室から「実際に車イスで乗車可能かどうか検証したい」と連絡が来た。

 武宏さんは22日に車イスを持参。同型列車の多目的室にすっぽり収まり、介助者のスペースがあることも確認した。JR側は「当日は多目的室を利用できるよう、車掌に話しておく」と約束したという。

 同支社によると、基準を超える車イスであっても、「特別な事情」がある場合には個別に乗客の状況を聞き、降車駅の態勢を確かめるなどして、ケース・バイ・ケースで判断してきた。医療目的のほか、修学旅行などで認めた例もある。

 では今回、なぜ一度断ったのか。

 佐々木高敏・サービス品質改革室長は「最初はお客様の状況をきちんと把握できておらず、現場から相談された際に乗車できないと判断した」と説明。その後のやりとりを通じて医療目的と認識したという。

 だが武宏さんは当初から入院目的と説明していたといい、支社内で必要な情報が共有されていなかった可能性がある。

 結局、乗れることになった岩崎さん。「何とか乗せようと努力してくれた現場の人には、感謝している。健常者なら旅行や移動は当たり前のことなのに、私たちは動こうとするたび、多くの壁にぶつかり、意気消沈し、生きる気力すらなくしてしまう。長尺の車イスじゃないとだめな障害者もいる。今回を機に、新幹線をもう少し乗りやすい構造にすることなどを考えてほしい」と話した。

 4日、北海道に発つ。(編集委員・石橋英昭)

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