「空き容量ゼロ」東北電力の送電線、京大が分析すると…

「空き容量ゼロ」東北電力の送電線、京大が分析すると…:朝日新聞デジタルより
「空き容量ゼロ」東北電力の送電線、京大が分析すると…
編集委員・石井徹、小坪遊2017年10月10日00時48分

 「空き容量ゼロ」として、太陽光や風力などの発電設備が新たにつなげなくなっている東北地方の14基幹送電線が、実際は2~18・2%しか使われていないと、京都大が分析した。東北電力は送電線の増強計画を進め、発電事業者に負担を求めているが、専門家は「今ある設備をもっと有効に使うべきだ」と指摘する。

 東北電は昨年5月、青森、岩手、秋田県の基幹送電線の容量が「満杯」になったと発表した。停電などの恐れがあるとして、50キロワット以上の新たな発電設備はほぼつなげない状況が続く。山形県でも同様な状況が起きている。

 京大再生可能エネルギー経済学講座の安田陽、山家公雄の両特任教授は、電力広域的運営推進機関(広域機関)の公表データ(昨年9月~今年8月)から、東北地方の50万ボルトと27万5千ボルトの基幹送電線について、1年間に送電線に流せる電気の最大量と実際に流れた量を比較した。

 その結果、「空き容量ゼロ」とされる14基幹送電線の利用率は、50万ボルトでは十和田幹線(上北~岩手)が2・0%、北上幹線(岩手~宮城)が3・4%、27万5千ボルトでは秋田幹線(秋田~羽後)が11・4%、山形幹線(新庄~西山形)が4・8%などと軒並み低かった。最大でも北奥幹線(能代~青森)が18・2%。

 東北電が公表している空き容量は、原発など送電線に連なる設備の発電能力の積み上げを基に算出しているが、実際の発電量ははるかに少なく、大きな隔たりが生じていると京大は分析している。欧米では、実際に流れる量を基に送電線の運用ルールや建設計画を定めているという。

 東北電は、新たな発電設備とつなぐには送電線の増強が必要として、接続を希望する再生エネ事業者らに工事負担金を求めている。負担金は数千万~数億円とみられる。事業者から「空いている送電線をもっと有効利用すべきだ」との声が上がり、経済産業省も既設送電線に再生エネを優先的に接続する検討を始めた。

 安田さんは「再生エネ導入には既存設備を有効活用するのが世界の常識だが、それをせず新規参入者に負担が強いられている」と話す。東北電は「広域機関の公表データは現状の一断面で、これだけで設備増強の要否を評価すべきではない。送電線の整備計画は、接続予定の電源や将来の需要動向などを考慮して策定している」としている。(編集委員・石井徹、小坪遊)

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