淡路島で発見の銅鐸、紀元前に埋設 付着植物で特定:朝日新聞デジタルより
淡路島で発見の銅鐸、紀元前に埋設 付着植物で特定
吉田博行、編集委員・今井邦彦2017年6月6日17時34分
兵庫県教委などは6日、同県南あわじ市で出土した弥生時代前期末~中期初めの「松帆銅鐸(まつほどうたく)」が紀元前4~同2世紀ごろに埋められたとみられると発表した。銅鐸に付着した植物から、初めて科学的な年代測定で特定した。銅鐸の使われ方などを知るうえで貴重な手がかりになるという。
松帆銅鐸は2015年4月、セメント会社の砂置き場で計7個が出土。大小の銅鐸が重ねられた3組のうち、内側の3個(高さ約21~22センチ)の内面と、その中につられていた銅鐸を鳴らす舌(ぜつ、振り子)に、埋められた際に混入したとみられる樹皮やイネ科植物の茎などが付着していた。
これらの植物片8点を奈良文化財研究所(奈文研)が民間調査会社に依頼して放射性炭素年代測定した結果、1個の銅鐸とその舌から採取した4点が、いずれも紀元前4~同2世紀のものと判定された。
県教委などによると、銅鐸の埋納時期はこれまで、鋳型と一緒に出土した土器の年代などから推定していた。松帆銅鐸の年代は紀元前3~同2世紀ごろと推定されており、今回の結果も大きなズレはなかった。
一方、銅鐸は弥生時代の中期末~後期初め(1世紀前半)と後期末(2世紀後半~3世紀前半)の二つの時期に集中的に埋納されたとする説が主流だ。奈文研の難波(なんば)洋三・客員研究員は「銅鐸の埋納が弥生中期末と後期末だけに限定されるのではなく、繰り返しなされたという説を補強する成果だ。埋納年代を検討するうえで非常に重要なデータが得られた」と評価する。
森岡秀人・関西大非常勤講師は「データを総合すると、紀元前に埋納されたことは疑う余地がない。松帆銅鐸はこれまで長期間使用されて埋められたと推定されていたが、比較的早い時期に埋納された可能性が出てきた」としている。(吉田博行、編集委員・今井邦彦)