障害者差別事例「迷駅」乗り換え、健常者1分・車いす17分

「迷駅」乗り換え、健常者1分・車いす17分:朝日新聞デジタルより
「迷駅」乗り換え、健常者1分・車いす17分
保坂知晃2017年4月13日09時29分
 名古屋の表玄関・名古屋駅。2027年のリニア中央新幹線開業を視野に、どんな形にしていくか。23日投開票の名古屋市長選でも重要なテーマになる。

 「案内に従って進むと、車いすでは行き止まりになってしまうんですよ」

 4月上旬、名古屋駅の地下街を電動車いすで進む近藤佑次さん(31)の行く手を階段が阻んだ。「名駅はただでさえ『迷駅』と皮肉られていますが、障害がある人たちにとっては、より顕著です」と話す。

 名古屋駅はJRと名鉄、近鉄、市営地下鉄、あおなみ線の計9路線が乗り入れる複雑な構造。近藤さんが階段に突き当たったのは、地下鉄東山線から名鉄への乗り換えだった。

 東山線の改札のうち、エレベーターがある北改札口を出て、案内矢印に従って名鉄に向かうと階段に突き当たる。地下鉄の駅員に尋ねると、「来た道を戻って、エレベーターで地上にいったん出て下さい」。

 回り道のうえ、信号もある。出発から約17分後、ようやく名鉄の西改札に着いた。一方、記者が階段を使い、乗り換えの最短ルートを歩いてみると、1分余りで着いた。

 近藤さんが所属する障害者団体「愛知県重度障害者団体連絡協議会」は15年、名古屋駅内での乗り換え時間のほか、名古屋駅から隣駅や駅周辺の商業施設までの時間が車いすと徒歩でどのくらい違うのか、13ルートで調べた。

 当時の設備で最も時間差があったのは「新幹線のりば→東山線伏見駅」の約17分30秒差。続いて駅内移動の「東山線→名鉄」の13分45秒差。このルートは徒歩だとわずか1分18秒で、車いすルートの不便さが際立った。近藤さんは「車いすでは、どこに行くにも回り道になります」と話す。

 国は乗降客数が1日3千人以上の駅について、20年度までに改札口からホームまでバリアフリー化された経路を原則、最低一つ設けるように基本方針などで定めている。

 名古屋駅全体の乗降客数は1日平均約111万人(11年)。JR線には複数の車いすルートがある。だが車いす利用者は、名鉄や近鉄との乗り換えに便利な広小路口のほか、新幹線のりば南口、在来線中央改札口という主要な出入り口が使えない。近藤さんは「乗降客数3千人の駅と同じようなレベルでいいのでしょうか。すべての改札から車いすでも乗れるようにしてほしい」と話す。

 名古屋市はリニア開業に向けた基本方針に「誰にも使いやすい国際レベルのターミナル駅をつくる」と掲げる。市は昨年、障害者、高齢者、子育て支援の各団体に、望ましい駅の姿について聞き取り調査をした。担当者は「結果を鉄道各社と共有して、問題解決につなげたい」と話す。

 お手本は中部空港(愛知県常滑市)だ。基本設計の段階から障害者の意見を聞き、障害のある人もない人もほぼ差がない移動経路をつくりあげた。

 名古屋駅再開発について河村たかし氏は「リニア名古屋駅を国家プロジェクトに」。岩城正光氏は「分かりやすく、乗り換えやすいターミナル空間を形成する必要がある」と掲げる。

 近藤さんは「バリアフリーが進んだ中部空港から名古屋駅に来た観光客ががっかりしないように、誰にでも使いやすい駅を目指してほしい」と話した。(保坂知晃)

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