条里制起源に関する一考察 地理学評論 Vol.34 (1961) リンク

条理制起源に関する一考察 地理学評論 Vol. 34 (1961) No. 12 P 631-649より

条里制起源に関する一考察

渡辺 久雄

 摘要 本研究の目的は、条里制起源が、これに先行する阡陌地割にあることを明らかにし、中国の阡陌地割形式が、朝鮮を経て、古墳時代にわが国に伝来し、条里制の基盤となったことを、地割形式およびGeomagnetochronologyの成果より明らかにすることにある。その解明の順序は1)条里制と阡陌地割。2)東亜における磁石・磁針の問題。3)兵庫県下における条里遺構の復原とGeomagnetochronologyの応用とする。
 (1)古い地積単位の残存から、条里地割に先行する一種の地割の存在を考える立場は早くからあった。しかしそれがいかなるものか。いつ頃実施されたものかについては必ずしも明確にされていなかった。この点に関して、筆者は条里先行地割が、中国の井田・阡陌地割と同系のものと考え、その証明として、地割形式を尺度および進法の変遷から検討した。
 (2)この種の先行地割方式が、いつ頃わが国で開始されたかという。本論文の表題である起源論について。この種の先行地割が古く阡陌地割と呼ばれていた点から、地割の経緯線は常に東西と南北を指している善だと考え、中国における古代の方位決定法、ならびに磁石・磁針の問題の解決から出発した。その結果、わが国へも、古墳時代すでに司南と呼ばれる一種の簡易Compassが渡来し、阡陌地割の施行に利用されている可能性を認めた。
 (3)条里遺構の復原に関して、筆者の年来の疑問点の一つは、条里地割における経緯線方向の区々なることにあった。その理由に関する従来の解釈に疑義を持つとともに、あらたな解釈として、磁針を用いたことによって生じた当時の地磁気偏角に原因すると仮定した。そのテストとして、兵庫県下における条里地割の経緯線方向の測定値を、近年著しく発達したGeomagnetochronologyの偏角永年変化表に照合し、地割が紀元3世紀より6世紀にわたって施行されたことを知った。また結果において、河系ごとに地割施行に関する地域的類型の存在をも認めることができた。最後にGeomagnetochronlogyが、本論文の起源論の根幹をなすものであるだけに、その客観妥当性若干の史実との照合によって試みた。もちろん100%の妥当性があるか否かは、史実自体の側にも問題がある限り明言できぬが、かなり高い信頼度を認めることができた。しかし今後、全国各地における条里地割への適用をはじめ、各方面における妥当性の検証が必要である。

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