夢の理論-仮説「夢は大脳皮質の長期記憶化のエコーを前頭前野が錯覚したもの」

夢の理論-「夢は大脳皮質の長期記憶(認知の強化)のエコーを前頭前野が錯覚(錯視)したもの」と仮定すると記憶や認知が合理的に理解できる。 

基本的にWinson仮説(1985年に提唱された理論で、「夢は記憶の再生と再処理過程で生起する」:下記参照)に沿っている。

人間の記憶に時系列が存在しない理由は「長期記憶=認知能力」だから メモで「記憶とは認知能力そのものである。」と考えたことに沿うと、
夢とは海馬に保存された短期記憶を大脳皮質のシナプスの強化=認知の強化として長期記憶化している知覚信号のエコーを前頭前野が現実の知覚と錯覚したものと考えると合理的だ。

夢はレム睡眠時に見るということは、この時に海馬の短期記憶を再生しながら選別・編集して長期記憶として認知(シナプス)を強化している証と言える。海馬には長期記憶した認知の構造化された認知のトリガー的(インデックス)な感情とリンクした記憶が残る。
ノンレム睡眠はセレトニンの合成や新しい海馬神経のセットアップや大脳皮質が海馬から受けた信号からのシナプス強化の定着期間と考える。

定義「ヒトが睡眠中に受容する、感覚・イメージ・感情そして思考の連続体であり、以下の6つの要素を有する。(1) 幻覚様のイメージ体験、(2) 物語風の構造、(3) 断続的で不調和、不安定な奇異的知覚特性、(4) 強烈な情動性、(5) 体験していることをあたかも現実のもののように受け入れる、(6) 忘れやすい」に沿って考える。
「ヒトが睡眠中に受容する、感覚・イメージ・感情そして思考の連続体」

(1) 幻覚様のイメージ体験

大脳皮質が海馬から偏桃体(感情や潜在意識や嗜好)の影響で選別されて受けた知覚信号なので実際に経験した知覚と異なった信号なので幻覚様になる。

(2) 物語風の構造

海馬の記憶自体が物語的な為。事象を記憶する手法として語呂合わせや物語を作って覚えることと同様。例「ひとよひとよにひとみごろ」

(3) 断続的で不調和、不安定な奇異的知覚特性

(1)と同じ理由。

(4) 強烈な情動性

海馬は偏桃体の影響や心的外傷を受けるので自ずと情動が強くなる。

(5) 体験していることをあたかも現実のもののように受け入れる

大脳皮質の認知(シナプス)の強化のエコーなので睡眠時には同一性が問題にならない。その為にあえて同一性(自我)の意識化を回避しているので現実と区別できない。

(6) 忘れやすい

覚醒時の知覚は海馬に保存されるが、海馬からのシナプス強化の為に再生された知覚信号なので記憶に残りにくい。


参考

夢 – 脳科学辞典より
『定義
 夢とは、ヒトが睡眠中に体験する明瞭な感覚・意識体験であり、現時点でもっとも妥当と思われる夢の定義は、「ヒトが睡眠中に受容する、感覚・イメージ・感情そして思考の連続体であり、以下の6つの要素を有する。(1) 幻覚様のイメージ体験、(2) 物語風の構造、(3) 断続的で不調和、不安定な奇異的知覚特性、(4) 強烈な情動性、(5) 体験していることをあたかも現実のもののように受け入れる、(6) 忘れやすい」というものであろう』
『Winsonは「夢は記憶の再生と再処理過程で生じる」という仮説を提案している[13]。これは、日中に蓄えた記憶の中で重要なものがレム睡眠中に再生・編集され、あらためて長期的な記憶として固定されるというものである。この説は、睡眠前の覚醒時の学習・経験が睡眠時にリプレイされることにより長期記憶として定着するという記憶の固定化とも一致するが、実際に夢内容とこのような睡眠中の神経活動のリプレイが対応しているとの実証的なデータはまだ報告されていない。』

ヒト睡眠の基礎10.夢の理論より
『3)Winson仮説:1985年に提唱された理論で、「夢は記憶の再生と再処理過程で生起する」というものである。覚醒中に脳が処理した情報のうち、重要なものがレム睡眠中に再生され、改めて編集処理され洗練化された情報が記憶として固定される過程が、夢となって現れるとしている。この理論の根拠としては、海馬(古い大脳皮質)が記憶処理を行っている時には、律動的なシータ波が出現するが、レム睡眠でもこの海馬シータ波が出現する。レム睡眠は新生児に大量に出現し、脳神経の成長を促進する。2歳頃になるとレム睡眠の出現時間は次第に減少し1日あたりの総量は2時間以下になる。この頃にノンレム睡眠とレム睡眠の順序性が確実になり、睡眠周期が出来上がるが、海馬が記憶処理機構として働き始めるのも丁度2歳頃からである。それで、レム睡眠が記憶を助ける機能を開始するのは2歳頃からであり、記憶処理過程が夢となって現れるのもこの頃からであろうと考えられる。こうして人は「覚えるために夢を見る」ようになるという。』


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