障害者差別事例-「防犯の為」に車椅子ユーザー用入口を施錠する伊丹市立美術館

okazakikyoko2016
今日(9/11)までです。 岡崎京子 戦場のガールズ・ライフ | 伊丹市立美術館より

伊丹市立美術館の立地

昨日、時間があったし涼しくなったので伊丹市立美術館で「岡崎京子 戦場のガールズ・ライフ」展を観に行ってきた。
訪れたのは2012年の「キース・ヘリング展」以来。

伊丹市立美術館の最寄り駅は阪急伊丹駅とJR伊丹駅でどちらからも徒歩で7分くらい離れた場所にある。

バスなら阪急伊丹駅から次になる「宮ノ前」か「伊丹本町1丁目」のバス停が近いが、待っている間に歩いて着くのでほとんどの入館者は徒歩で行く。

伊丹市立美術館のフロア

floremap美術館は南棟と北棟の2つの建物で構成されている。

南棟は旧岡田家住宅・旧石橋家住宅と市立工芸センターが入っていて美術館の展示とは別の施設として運営されている。但し、地下階の工芸センターも美術館の展示室として使われることもある。

北棟は1階に美術館受付と柿衛文庫・事務室と講座室があって2階に展示室が2つある。

そして南棟と北棟の間の地下階にも美術館の展示室がある。

この構造が車椅子ユーザーには最悪に分かり難い。
どうも「美術」や「文化」を冠する施設はこの手の車椅子ユーザーに迷惑な設計が多い。
例としては兵庫県立芸術文化センターと人と防災未来センターが酷い。

伊丹市立美術館の展示室の順路

非車椅子ユーザーの場合は北棟の受付で入館手続きをして階段で2階に上がって2つの展示室を鑑賞して1階に降りて別の階段で地下階の展示室を鑑賞しておしまい。
一度建物に入れば全ての展示室を観て回ることができる。

車椅子ユーザーの場合は北棟の受付で入館手続きをしてエレベータで2階に上がって2つの展示室を鑑賞して1階に降りるまでは同じ。次の地下階の展示室に行くのが問題。
一度、北棟から屋外に出なければならない。屋外を通って南棟のエレベータで地下階に降りてロビー(カフェ?)を横切って展示室に入って鑑賞する。
天気の悪い冬など上着を着たり脱いだり余計な手間がかかる。

北棟から出て南棟に行くには正面入口から道路に出て南棟に入る道と、受付で頼んで庭園側出入口の施錠を解いて連絡通路を通って南棟に入る道がある。

庭園側出入口

美術館の入口は北棟の正面入口だけである、はずだったのだろう。
北棟の庭園側にあるガラス扉の庭園側出入口はホームページに「・庭園側出入口(スロープ対応可能、受付にお申し出ください)」と載せている通り、普段は施錠していたのだろう。

2012年の「キース・ヘリング展」の時は近くの伊丹市商工プラザに用事があった流れで寄ったので正面入口から入館した。2階の展示室を鑑賞して1階に降りて地下階の展示室に行くためのエレベータの場所が分からない。エレベータの表示も無い。仕方なく受付に声をかけてエレベータの場所を訊いて、ついでに職員に庭園側出入口の引き戸の錠を開けてもらって外に出たので引き戸の施錠が問題に感じなかった。

door庭園側出入口は開き戸と引き戸の2つの扉がある。
北棟の1階フロアと外の連絡通路には15cmくらいの段差がある。
開き戸は間口が狭いのに加えて段差にホームセンターに売っている自動車用の段差解消プレートが置いてあるだけで車椅子では通れない。
引き戸には鉄板で作られたスロープが設置されていて間口も90cmはありそうなので車椅子の通行に支障はない。

ここまでだけでは「伊丹市立美術館は車椅子ユーザーに対して不親切な造りの施設」で済んだのだろうが今回は違った。

事例1

伊丹市立美術館はどちらの駅からも北に位置するので南棟の旧岡田家住宅や車椅子ユーザー用駐車場から入って庭園通路を通って北棟の庭園側出入口から出入りする人が多い。
南棟の道路側には展示案内の大きなポスターが掲示してあり車椅子ユーザー用駐車場から庭園側出入口に続く連絡通路に「美術館入口」と矢印付の案内立て札が立てられていて入館者を誘導している。

私が通りかかったときにも連絡通路を通って庭園側出入口で出入りしている人が多くみられた。
庭園側出入口は施錠しているはずと思っていたけれど入館者が自由に往来しているので開館時間は解錠するようになったと思ったのは当然の成り行きだ。
私も同様に連絡通路を通って庭園側出入口に向かった。

ここで不可思議な状況に直面して車椅子ユーザーの私は呆然とさせられる。
非車椅子ユーザー用の開き戸は解錠してあるがスロープ付きの車椅子ユーザー用の引き戸は施錠されているのだ。
同行しているガイドヘルパーさんに美術館の職員に鍵を開けてもらうよう頼んで開き戸を出入りする人を横目で眺めることしばし。

職員に鍵を開けてもらって中に入る。

「おかしい」と思って鍵を開けた職員に車椅子ユーザー用の引き戸も鍵を開けておくように頼むと
「(車椅子ユーザー用の引き戸は)施錠することになってるんです」
という答が返ってきた。

「開き戸は鍵が掛かってないんだから引き戸の方も鍵を開けておいて」と伝えて受付を済ませて2階の展示室を鑑賞する。

事例2

1階に下りて地下階の展示室に向かうためにさっき鍵を開けてもらった庭園側出入口の引き戸をガイドヘルパーさんに開けてもらおうとしたら施錠されていた。
時間にして20分くらい前に入館する為に開けてもらったばかりで、地下階の展示室に向かうためにまたここを通ることは職員なら周知のはずである。

「開き戸は鍵が開いているのに(車椅子ユーザー用の)引き戸の方だけ施錠している理由は何?」と尋ねたら
「(車椅子ユーザー用の引き戸は)施錠することになってるんです」
という同じ答が返ってきた。

再度同じ質問を繰り返すと
「防犯の為です」という返事が返ってきた。

職員は、自分の発言の意味を理解できていないとしか思えないから、気付きもしなければ改善も望めないだろう。
職員の返事は「非車椅子ユーザーは安全なので開き戸は開放するけれど、車椅子ユーザーは犯罪の恐れがあるから引き戸は施錠している」と同義になっている。

事例3

北棟の庭園側出入口を出て南棟のエレベータで地下階に下りてガイドヘルパーさんに入口の重いガラス扉を開けてもらって地下階の展示室に入って展示を観始める。
すると後ろから声を掛けられた。地下階の展示室にあるミュージアムショップの職員が「受付されてますか?」と尋ねてきたのだ。
「もちろん」と答えて済まして終わればよかったが先の件で不快感のゲージが振り切れたので尋ねかえした。
「どうして車椅子に乗った私だけに訊くんですか?」
職員は「普段は階段のところにもう一人の職員がいるんです」と答えた。
この日は展示期間の最終日前日の土曜日である。この日が普段より入館者が多くなくていつ入館者が増えるというのだろう。私が尋ねたことの回答になっていない。
非車椅子ユーザーは階段からの入室で車椅子ユーザーの私は彼らとは別のエレベータからの入室なので職員にとって私はイレギュラーに映ったのだろう。
車椅子ユーザーをイレギュラーにしているのは美術館の方だ。

伊丹市立美術館の職員にとって車椅子ユーザー(障害者)はイレギュラーで防犯の対象とみているらしい。
さすが「日本一安全・安心なまち伊丹」を謳う伊丹市だ。


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