古墳時代の垣根、残ってた 火山灰に埋もれ保存 群馬

古墳時代の垣根、残ってた 火山灰に埋もれ保存 群馬:朝日新聞デジタルより

古墳時代の垣根、残ってた 火山灰に埋もれ保存 群馬
土屋弘2016年5月12日17時17分
 群馬県渋川市の金井下新田(かないしもしんでん)遺跡で、古墳時代後期(6世紀初頭)の火山灰層から、植物を編んだ垣根に囲まれた建物の遺構や祭祀(さいし)用具などが見つかった。県埋蔵文化財調査事業団が11日発表した。古墳時代の垣根が見つかるのは極めて珍しく、火山灰に埋もれたために保存状態は良好という。

 榛名山噴火に伴う火山灰層の下で、地域首長の政治・祭祀の拠点とみられる55メートル四方の囲い状遺構と、祭祀遺構が確認された。囲い状遺構は、イネ科植物の茎をよしず状に編んだものを、1・8メートル間隔で立つ柱の両側から挟んだ垣根で囲われていた。垣根は当時、高さ約3メートルで、3層にわたり厚さ30センチ前後の堅牢な作りだったとみられる。

群馬県 – 【5月11日】金井下新田遺跡で古墳時代の地域首長の政治・祭祀拠点を発見(文化財保護課・埋蔵文化財調査事業団)より
【5月11日】金井下新田遺跡で古墳時代の地域首長の政治・祭祀拠点を発見(文化財保護課・埋蔵文化財調査事業団)
1 出土遺跡の概要

遺跡名  金井下新田(かないしもしんでん)遺跡
調査要因  国道353号金井バイパス(上信自動車道)道路改築に伴う発掘調査
委託者  渋川土木事務所
調査主体  公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団
調査期間  平成26年4月から平成29年3月(予定)
2 内容
 金井東裏遺跡の南に隣接する金井下新田遺跡5区で、平成26年度に確認された囲い状遺構の西側の調査を進めたところ、網代垣(あじろがき)に囲まれた方形区画遺構とその周辺の祭祀関連遺構の様相が明らかになってきました。(図1・図2)

 囲い状遺構は一辺約55メートルと推定される方形の区画で、内部を遮蔽するように高さ3メートルm前後の網代垣で囲むものです。網代垣は、1.8メートル間隔に立てた角柱に、植物の茎をよしず状に編んだものを両側から網代で挟んで取り付けた構造で、厚さが30センチメートル後の堅牢なものであることがわかりました。(図3・写真1~4)

囲い状遺構の内部は低い垣で東西に区画されており、東側の区画の中央には大型住居(1号住居)と小型の竪穴遺構(1号竪穴)が、西側の区画の中央には3間×5間の総柱の掘立柱建物(33号掘立)とその南側に直径約3メートルの円形建物が整然と配置されていました。これらの建物にはいずれも屋根材がすでになく、抜き取られた柱もありました。(写真5~7)

3号掘立柱建物北東部の床下から、切断した複数の鹿角(ろっかく)がまとまって出土しました。有機質の鹿角が台地上の遺跡で発見されるのは稀有な例です。(写真8)

囲い状遺構の南側からは、須恵器の高杯形(たかつきがた)器台(きだい)という特殊な土器を含む複数の祭祀遺物群も発見されました。(写真9)
さらにその南側には2棟の掘立柱建物が整然と並んでおり、床下にあたる場所には小型土器や多量の臼玉(うすだま)が集積されていたほか、子持勾玉(こもちまがたま)という特異な勾玉も出土しました。(写真10~14)
3 要点

囲い状遺構とその周辺は、特異な遺構の構造や規模、さらには祭祀関連遺物が集中していることから、古墳時代の地域首長の政治・祭祀拠点と考えられます。

このような政治・祭祀拠点が火山灰下で発見されたのは国内で初めてのことです。遺構の残存状況からみると、建物はすべて火山噴火以前に廃絶し、解体途中であった可能性があります。さらに祭祀遺物が火山灰下にそのまま残されていることから、 土器や子持勾玉、臼玉、石製模造品などの祭具を用いた祭祀行為の具体的な様子や、一連の行為の経過がわかる可能性のある重要な発見です。

装飾品などの素材となり得るまとまった鹿角の発見は、鹿角製小札や鹿角製品が出土した金井東裏遺跡と直接的に関連する遺跡であることを示唆するものといえます。

 【補足説明】

榛名山の噴火と金井遺跡群
金井下新田遺跡は、甲を着た古墳人が出土した金井東裏遺跡とともに榛名山北東麓にあります。
今回、金井下新田遺跡で発見された遺構・遺物は、金井東裏遺跡と同じ6世紀初頭の榛名山の噴火に伴う火山灰や火砕流の下から出土したことから、甲を着た古墳人と同じ時期のものです。

網代垣の構造
網代垣は、高さ3メートル、厚さ30センチメートル前後で、中央のよしず状の部分と両側の網代からなる3層構造になっていることが明らかになりました。また、網代と横桟(よこざん)を、蔓状の植物で巻き留めた痕跡も確認されました。これらの材料にはアシなどのイネ科植物が使用されていると見られますが、柱材を含め今後樹種等を分析する予定です。

建物と火山災害
総柱の掘立柱建物(3号掘立)は高床倉庫の可能性が高く、大型住居(1号住居)とともに網代垣に囲まれていました。これらの建物には屋根材がすでになく、火砕流で倒れた柱と火山灰降下前に抜き取られた柱の痕跡が1棟の建物のなかに混在していました。また、囲い状遺構の南側にある2棟の掘立柱建物(1号掘立・2号掘立)では、火砕流堆積物層の中から柱の痕跡が発見されており、柱だけが立った状態であったことがわかりました。これらのことから、火山噴火以前に建物は廃絶し解体途中に火山噴火に遭った可能性があります。

祭祀遺構
囲い状遺構の南側でみつかった複数の祭祀遺構からは、特殊な土器などのほか多量の臼玉や石製模造品、さらに子持勾玉と呼ぶ特異な勾玉が出土しました。また、土器の中には地面に埋まった状態のものもありました。囲い状遺構の周囲は、繰り返し祭祀関連の行為が行われた空間だったと推定されます。
特殊な土器の中でも須恵器の高杯形器台は、一般の集落で使用される土器ではなく、古墳の副葬品として出土する特別なものです。このような土器が複数出土していることは、首長が執り行う特別な祭祀の場であった可能性があります。

鹿角と金井遺跡群
金井東裏遺跡では、甲を着た古墳人が所持していた刀子(とうす)の柄、2号甲内部から出土した鹿角製小札(こざね)、矛の装飾などに鹿角が多用されています。金井下新田遺跡から出土した鹿角は、これらの素材となり得る大きさの切断角が集積されており、両遺跡の関係が注目されます。また、鹿角製品の生産や流通の課題を解明する重要な発見であるといえます。
4 現地公開について

平成28年5月14日(土)午前10時~午後3時に一般・県民を対象に現地を公開します。
雨天(小雨含む)中止の場合は、平成28年5月21日(土)延期します。再度の延期は予定しておりません。

遺跡周辺には駐車スペースがありませんので、自家用車等は、遺跡東方約800メートルの臨時駐車場(渋川市金井216番地)を御利用下さい。
駐車場で整理券をお渡ししますので、ご持参下さい。
駐車場から、徒歩で現地まで往復していただきます。(片道15分程度)
遺跡周辺には駐車できませんので、ご注意下さい。路上駐車はご遠慮下さい。

徒歩・自転車・バイク・路線バスでお越しの方は、直接遺跡調査事務所においで下さい。

なお、今回の現地公開では、安全確保・遺構保全のため、発掘区周辺からの見学となり、内部には入れませんので、ご了承下さい。

交通等の詳細については、臨時駐車場アクセスマップ(PDF:125KB)または公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団ホームページ(外部リンク)をご確認の上、ご来場下さい。
5 問い合わせ先

群馬県教育委員会文化財保護課
電話:027-226-4694 担当:埋蔵文化財係

公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団
電話:0279-52-2511 担当:調査部

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