「重力波」、米チームが初観測 アインシュタインが予言

155億円も日本が税金かけてまで競争するのは無駄。
カミオカ新施設、つかむか重力波 「アインシュタインの宿題」挑むKAGRA:朝日新聞デジタル 

カミオカ新施設、つかむか重力波 「アインシュタインの宿題」挑むKAGRA
2015年11月3日05時00分
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重力波のイメージ/KAGRAのしくみ
 ノーベル物理学賞を受賞する梶田隆章さんの業績につながった研究施設がある岐阜県・神岡鉱山に新たな装置が完成し、今月お披露目される。目指すのは、アインシュタインが存在を予言した「重力波」の観測。世界にライバルがひしめくなか、次の成果を目指す。

 ■建設費155億円 海外勢と競争

 神岡鉱山には、梶田さんの受賞につながった「スーパーカミオカンデ」など素粒子物理学の大型施設が集中する。新たな装置は、梶田さんが所長を務める東京大宇宙線研究所などの大型低温重力波望遠鏡「KAGRA(かぐら)」。約100年前にアインシュタインが存在を予言し、いまだ観測されずに「最後の宿題」といわれる重力波をとらえる。名前は「神岡」と、重力波を示す「グラビテーショナルウェーブ」の冒頭から取った。

 重力波は、宇宙のかなたからさざ波のように伝わる「時空のひずみ」。138億年前に宇宙が生まれたときにも生じたとされる。観測できれば、宇宙の誕生の過程のほか、ブラックホールや巨大な天体の解明にもつながるとされる。地球に届くひずみは「地球と太陽の距離(1億5千万キロ)に対して水素原子1個分(1千万分の1ミリ)」ほどとわずか。これをとらえるため地下に長さ3キロのトンネルをL字形に2本掘った=図。

 2方向にレーザー光を放ち、鏡で反射して往復させる。重力波によって空間が伸び縮みすると、波が来る方向の道のりが長くなり、距離にわずかな差が現れるはずだ。この検出を目指す。建設費は155億円。来春までに試運転を実施、装置を調整し17年度から精密な観測を始める予定だ。

 初観測ならノーベル賞確実とされる。ただ、日本のお家芸とされたニュートリノ研究とは事情が異なる。

 梶田さんの研究は「ほかの装置で観測できないのでライバルはいなかった」(梶田さん)。ただ、重力波は米国と欧州も観測を目指し、米国では9月に精密観測が始まった。「一番乗り」のハードルは高く、日本はブラックホール誕生の瞬間など、具体的な現象の観測を目標にしている。

 ■巨大科学に予算の制約

 国内には多くの大型研究施設があり、ノーベル賞級の業績を残してきた。

 ただ、学問が進み、より核心に迫ろうとするほど装置も巨大になる。構想中の「ハイパーカミオカンデ」は「スーパー」の20倍、東京ドームほぼ1杯分にあたる100万トンのタンクに水をため、「陽子崩壊」で生じる微弱な光を観測する。

 世界が数十年にわたり追い続けるノーベル賞級のテーマだが、建設費も800億円と巨額だ。研究チームは国際協力による資金集めを模索している。

 こうした巨大科学は国の支援が欠かせない。ただ、「厳しい財政状況のもと円滑な推進が困難になってきている」(文科省)。政府が検討中の第5期科学技術基本計画(16~20年度)では、国内外施設の活用や国際共同研究で研究費を効率化する方向性を打ち出した。経済的な成果を求める出口志向も強まっている。

 素粒子物理学は社会や暮らしに直接関係のない純粋な基礎研究の代表格。梶田さんは「成果をお金に換算できないので、どれだけ新しい知識が得られるかで測るしかない。地道に、期待される成果の魅力を伝えていきたい」と話す。

 (嘉幡久敬、須藤大輔)

 ■日本の主な大型実験装置と将来計画

装置名/運用開始年                  建設費

カミオカンデ(神岡鉱山)/1983        3~4億円

スーパーカミオカンデ(神岡鉱山)/96     約100億円

Bファクトリー加速器(茨城県つくば市)/99   378億円

カムランド(神岡鉱山)/2002         約20億円

LHC・アトラス検出器(ジュネーブ郊外)/10  140億円(日本負担分)

KAGRA(神岡鉱山)/16(予定)       155億円

ハイパーカミオカンデ(神岡鉱山)/25(予定) 約800億円

「重力波」、米チームが初観測 アインシュタインが予言:朝日新聞デジタルより
「重力波」、米チームが初観測 アインシュタインが予言
小林哲=ワシントン、奥村輝2016年2月12日01時12分
 100年前にアインシュタインが存在を予言し、世界の研究者が観測を目指していた「重力波」について、米国の研究チームが11日、初めて観測したと発表した。最終的に確認されれば理論が実証されたことになり、物理学の歴史的な成果となる。光や電波ではわからない宇宙の姿を探る新たな天文観測にも道が開ける。

 重力波は、時間や空間がわずかに伸び縮みする「時空のひずみ」がさざ波のように伝わる現象。物体が加速して動くときに起こる。アインシュタインが1916年、一般相対性理論から予言していた。その観測は「最後の宿題」とされ、物理学の長年の悲願だった。

 重力波はあらゆる運動で生じるとされるが、極めて微弱で通常は観測できない。このため、星の合体などで生じた大きな重力波をとらえることになる。研究チームは米国2カ所にある装置「LIGO(ライゴ)」の性能を大幅に高め、昨年9月から今年1月上旬まで観測、分析作業を進めていた。

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